おざなりの文通費問題!国民の声は届くのか?

18歳の学生との飲酒疑惑が浮上し、自民党を離党した吉川赳衆院議員。本人には議員辞職の意向はなく、会見なども行わない意向であることが明らかになりました。

しかし、個人的には、このような問題よりも「文通費の行方」のほうが気になります。

kanzilyou/iStock

まったく進まない文通費問題

国会は6月15日に期末を迎え、議員報酬、期末手当(ボーナス)、文書通信交通滞在費(今国会で調査研究広報滞在費に名称変更)の支払いが迫っています。

通常であれば、公務員のボーナスは夏が6月30日、冬が12月10日です。この支払に関しても疑問を呈する声が上がっています。自民党の高木国対委員長が、文通費の使い道についての結論を、参議院選挙後に先送りする考えを示したためです。

自民党の高木国対委員長は14日の会見で、使いみちの公開などを実現する法改正を今の国会では行わず、先送りする考えを示しました。

自民党・高木国対委員長
「議論を続けるということです。選挙が終わってしかるべきということで、国会が始まってからになるでしょう」

「文書費」については、支給を日割りにして、名称を「調査研究広報滞在費」に変更する法改正を4月に行い、使い道の公開や、使わなかった分の国庫への返納については「今の国会で結論を得る」ことで与野党合意していた経緯もあり、反発の声があがっています。

文通費は、公の性質を持つものです。目的や金額について議論し日割り支給や国庫返納、公表のルールと併せて議論する必要があるのです。現状では、不合理であることから国民から見て合理的説明が立たないものであり、見直しが必要であることは間違いありません。

文通費は公の性質ではないのか

文通費はどのような目的をもって成立したのでしょうか。ここで、衆議院議院運営委員会庶務小委員会における、当時の与謝野馨委員長の発言を紹介します。

第125回国会 衆議院 議院運営委員会 第10号 平成5年1月21日

○与謝野委員
平成六年一月から創設する政策秘書に係る経費、文書通信交通費を文書通信交通滞在費に改め、これを月額七十五万円から百万円に増額するための経費、航空機利用増加に係る経費、議員の任期満了に伴う総選挙関係経費、議員歳費並びに議員秘書及び職員の人件費等の増加によるものであります。

与謝野委員長は、文通費の使途について、議員個人に支給されて、国会議員活動を行う上での幅広い経費に対して使用できるとし、さらに、議員の活動の幅に適応させるために75万円から100万円に増額したと述べています。

文通費に関しては領収書の添付義務や、使途の報告・公開義務もなく、目的外使用への罰則もありません。使い道が不透明であり、「経費」か「手当」なのかの位置づけさえはっきりしていないとも言われています。しかし、与謝野委員長の発言を見る限り「手当」(第二の給料)に近いものと解釈することができます。

今国会は、文通費のあり方に注目が集まりました。しかし、法案は、名称と目的を同時改正するだけで中身はなにも変わりませんでした。使途及び公開の在り方についての協議も進みませんでした。6月15日の会期末後は参議院選挙一色になるでしょう。果たして国民の声は届くのでしょうか。