世田谷区議会の令和4年第2回定例会が終了。同時に参院選がスタートした。私は一般質問に立ち、町会費と赤い羽根などの募金の一括強制徴収を問題にしたほか、区長の公用車使用について取り上げた。
保坂区長は、今年1月10日に行われた世田谷区の「新成人のつどい」(成人式)に出席。式は同日3回に分けて行われたが、2回と3回の間に、区長は公用車で抜け出し、ある政治家(今回の参院選に出馬中)の講演会に出かけて挨拶した。そして、再び公用車で成人式の会場へ戻っていたことが、私の調べでわかった。
公用車は、あくまで区長の「公務」に使用するために、区民からあてがわれているものであって、政治家としての活動、つまり「政務」に使ってはならないはずだ。保坂区長はこのあたりを曖昧にしている嫌いがあるのではないか、と質したわけである。そして、区には公用車運行のガイドラインのようなものはあるのか、もしないならば、早急に策定すべきである、と指摘した。
区の見解は、まず、成人式の日の運用の仕方は問題ないという。簡単に言えば、「総合的に判断しているから」ということだが、“総合的”と判断するならば、根拠となるガイドライン、内規のようなものはあるのか? と問えば、はっきり答弁しないのである。ガイドラインの存在の有無は再質問でも聞いたが、区はついに答えなかった。
つまり、本当はガイドラインのようなものは「ない」のだが、「ない」と答えると、「では、これまで、何に則って運行していたのか?」と問われ、そのいい加減さを追及されるのを恐れたのである。この不誠実な答弁は、議場でもヤジが飛んでいたが、区民に明確な説明ができないのだから、区長とのなあなあの馴れ合いでやっていると言われても文句は言えないだろう。とは言え、私の質問によってガイドライン策定をめざす、と答弁したので、結果を待ちたい。
さて、参院選が始まると、どこの首長も特定候補・政党の応援に出かけるのが普通だ。その際、乗って来た車が公用車かどうか目を凝らす必要がある。
先日行われた杉並区長選で現職が落選した。前区長は移動自粛要請下で群馬県のゴルフ場へ出かけ、経済団体の幹部会に出席。しかも公用車を使っていたことが問題視された。とかく、権力が集中する首長は「公務」と「政務」を混同する傾向がある。厳しくチェックすることは、われわれ有権者の責務でもある。