福島12市町村への移住が倍増した3つの理由

PHOTON09/iStock

昨日、福島県への移住者数が、内堀知事より発表されました。

福島県内への移住、倍増の1532世帯 21年度、支援体制の充実効果

福島民友新聞社
福島民友新聞社が運営するWebニュースサイト「minyu-net」。福島県内のニュースやスポーツ、国内外ニュースを発信。グルメ、イベント、観光地、暮らしに役立つ情報など福島県の文化や活力を発信する地域密着型のWebニュースサイトです。

ふくしま12市町村移住支援センター長として数字は把握していましたが、ようやく正式に公開されたことになります。ポイントは下記の通りです。

  • 2021年度に福島県内に移り住んだのは、1532世帯2333人で、20年度(1116人)から倍増。特に、いわきと相双地区(浜通り)で伸びた
  • 原発事故からの復興を目指す12市町村でも、326世帯436人が移住と倍増(昨年度は155世帯213人)。手厚い支援策や、復興に関心を持つ層への呼びかけを進めたことが背景
  • 年代別では、40代までの若い世代が全体の7割。東京・神奈川・千葉・埼玉からの移住世帯が5割以上

12市町村で移住者が伸びている理由は3つあると、私は考えています。

一つは、復興が進み、長期で働ける仕事が増えていること。この数年で居住制限が大幅に減り、営みが戻りつつあります。人と事業が戻れば、仕事が増えます。求人倍率は、全国平均1.2に対して、1.6〜1.8程度の高い水準が続いています。12市町村で仕事に就くことを機に、移住を決める方が増えています。

一つは、若い世代に復興に関心をもつ方が少なくないこと。全国的に、移住は「リタイア後の田舎暮らし」よりも、「若い世代による地域での仕事」にトレンドが移っています。単に住む場所を移動するよりも、地域に貢献したいと考える若者が増えていて、福島の復興にも関心を持つ方が若い世代ほど多い状況があります。

いま一つは、12市町村による移住施策が本格化したこと。原発被災地域では、もともとの住民の帰還に加えて、復興の担い手になって頂くための移住施策が強化されつつあります。この一年間で続々と自治体別の移住組織が立ち上がっていて、仕事や住まいの情報発信や、ツアー、イベントが活発に行われています。ふくしま12市町村移住支援センターでもインターネットを中心に積極的に情報発信を行っていて、この地域で移住が進んでいることが首都圏で26パーセントの方が知ってもらえるようになりました。

「移住可」認知4人に1人 ふくしま12市町村支援センター調査

福島民友新聞社
福島民友新聞社が運営するWebニュースサイト「minyu-net」。福島県内のニュースやスポーツ、国内外ニュースを発信。グルメ、イベント、観光地、暮らしに役立つ情報など福島県の文化や活力を発信する地域密着型のWebニュースサイトです。

この地域の仕事と人を発信すればする程に移住に関心をもつ方が増え続けていて、やりがいを感じます。

もちろん課題はあります。一度人が住めなくなった地域です。お店は種類も数も多くはなく、生活が便利とはいえません。移住を支える地域側の体制も十分は整っていません。移住をしてきた方が長く定着して頂くには、整えることが数多くあります。

その分、やりがいがある仕事も数多くあるとも言えます。復興の難しさを知ってこの地域に飛び込んでいる方には、やはり人間的魅力がある方が多くおられます。

福島の復興はこれから。ぜひ、福島12市町村での仕事や生活に、関心をもって頂ければと思います。私も移住支援センターの立場で、一つ一つの仕事を丁寧に進めていきます。


編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2022年6月25日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。