吉祥寺人気は「バブル」として消えていく

日本経済新聞電子版によれば、リクルートの「住みたい街」ランキングで、毎年人気上位となる吉祥寺人気に陰りが出ているそうです。

住宅情報サイト「SUUMO」が2009年から始めた首都圏版の調査ランキングによる結果です。

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そもそも、この調査は吉祥寺や恵比寿といった駅を、横浜などの大きなエリアと単純比較しています。調査の手法に、疑問があり、あまり意味のない調査結果です。とは言え、特に若者の間で吉祥寺人気が落ちているのは確かなようです。(図表を元記事で見る

吉祥寺だけではなく、自由が丘、二子玉川といった街は、洗練されたお洒落なイメージがあります。実際、小洒落たお店も集まってますが、利便性が良いとは言えません。

共通しているのは、都心から離れているにも関わらず、家賃や物価が高く、割高な街であるということです。

これは、高級住宅地とされている田園調布や成城学園も同じです。住環境は確かに良いかもしれませんが、どちらも都心からは遠く、アクセスの悪い不便な街なのです。

吉祥寺に話を戻すと、近くには井の頭公園があって武蔵野の良いイメージがありますが、ここは東京23区ではなく武蔵野市になります。市外局番は、03ではなく0422です。

井の頭線の始発駅ですが、この路線はメトロとの相互乗り入れもなく、都心に行くには渋谷駅で乗り換えが必要です。中央線も利用できますが、特別快速は通過です。遠いだけではなく、意外に不便な駅なのです。

新しい魅力的なお店は、家賃が高く、不便なこのようなブランド街よりも、利便性が高い割に物価の安い穴場の街に集まってきます。そうなれば、郊外のお洒落なイメージの街の魅力は落ちていきます。

ブランド街の象徴であった吉祥寺バブルが弾けるのは、当たり前といえば、当たり前のことなのです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年7月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。