安倍元首相への憎悪を煽った候補者の公認取り消しを

かつて石井紘基代議士が暗殺されたときに小泉首相の冷淡さに腹が立った。そんな意味で、安倍氏も特別に長崎市長暗殺事件など政治家襲撃事件に厳しく戦ったわけでなかったとからといって、あたかも安倍氏にも責任の一端があるように言う人がいる。

安倍晋三元首相 NHKより

しかし、この事件は、マスコミと野党の一部の心ない政治家、一部有識者などが「反安倍ならなんでも無罪」という風潮を創りだし、その空気が引き起こしたという点で全く違うのだ。このことは、何時間か前に「安倍狙撃事件の犯人は『反アベ無罪』を煽った空気だ」で私が書いたことだ。

実際に、とくに立憲民主党にいえることだが、 今回の参議院議員選挙候補者のなかで、過去に聴くに堪えないことをいって安倍氏への憎悪を煽った人たちがいる。それも一人や二人ではない。

立憲民主党の泉代表に提案したいのは、全議員の過去の発言をチェックし、必要以上に反安倍憎悪をかき立てた議員の公認を土曜日中に取り消すべきだ。そうしないと、立憲民主党の大敗は間違いないし、当選しても問題にし続けられるだろう。

もちろん、それは、抽象的な反安倍でなくあくどく憎悪を具体的にかき立てていた発言や行動があった人たちだけである。正々堂々たる政策批判はなんの問題もない。

そんなことをFacebookに書いたら、「事件直後の犯人探しは、過剰な反応の応酬になりやすく、新たな事件を引き起こすきっかけにならないか心配だ」というコメントを寄越した人がいる。

しかし、テロに繋がるような言動をした候補者が当選する以上にテロを擁護することはないのではないか。

今回の候補者でないが、小沢一郎氏の発言はひどい。毎日新聞によれば、8日、岩手県奥州市で行われた参院選の応援演説で、「端的に言えば、自民党の長期政権が招いた事件と言わざるを得ない」と述べ、演説後、記者団に発言の真意を問われ「社会が安定して良い政治が行われていれば、こんな過激な事件は起きない。自民党がおごり高ぶり、勝手なことをやった結果だ」といったらしい。

高い支持率のもとに6回の国政選挙で連勝した総理に社会が安定して良い政治が行われていなかったというのは、安倍氏でなく、国民と民主主義に対して失礼だ。

長期政権といっても7年半など世界的には長期政権のうちに入らない。アメリカ大統領だって、2期8年が標準だ。

警備については、安倍氏がもっとも狙われている政治家だというにもかかわらず、警察はあまりにも粗末。奈良県警は地方の警察の中で、要人警備にはもっともノウハウを持っているところのひとつだ。なにしろ、天皇陛下はじめ皇室の警護が多いのである。

死去の発表も、NHKが「自民党幹部の話」として死去を報じ、病院による記者会見も物理的な準備も説明もお粗末。安倍元首相への敬意がまるで感じられない。狙撃されて以来、時間は6時間もあったのに、最初は死亡時間も話さないお粗末。ちょっと信じがたい弛みぶりだ。

野党党首では、意外にも山本太郎と福島瑞穂がきちんと筋の通ったことを言っていた。事件を引き起こした原因をつくったという点は別だが。

犯人に裏がないかは、じっくり調べるべきだろう。宗教団体幹部も狙ったといっても、安倍元首相と一緒にということだから、そこはたいして重要な点ではあるまい。