安倍元総理

松田 公太

昨日はショックが大きすぎて、安倍元総理の殺害事件に関して発信できたのが日付が変わる直前になってしまいました。

そのコメントが私が最初に絞り出す事ができた思いなので、そのまま下記引用させて頂きます:

政策的に合う部分も合わない部分もありましたが、信念を貫かれる姿にはいつも尊敬の念を抱いておりました。とてもユーモアがあり、議論や会話の度に笑わせて頂きました。安倍元総理の生前のご功績を称え、謹んでご冥福をお祈りいたします。

国会の予算委員会等で政策的な議論を何度もさせて頂きました。安保法制の時は政府と国会のあるべき姿について突っ込んだ話し合いをしました。憲法改正、規制改革、経済政策、金融政策、同性婚。。。

最後にお話をしたのがコロナ感染拡大の飲食業支援についてでした。

必ずしも意見がマッチするわけではありませんでしたが、ブレない姿には国会議員として、日本のリーダーとして、あるべき姿を見せて頂いたと今も感謝しております。

とにかく悔しいです。

いま言うべきことでは無いかもしれませんが、私は国会/議員会館内や日本の政治家(特に要人レベル)に対するセキュリティの甘さに関して議運等で問題提起をしてきました。米国に住んでいた子どもの頃、学校で何度もケネディ大統領暗殺事件が教材に出てきたり、レーガン大統領暗殺未遂事件をリアルタイムで見てきたりして、政治家のリスクが現実のものだという感覚で育ったからかもしれません。

かく言う私も、日本を元気にする会の党首の時に街宣車から降りてきたところをいきなり殴られる(私が何人かの女性支援者から花束を受け取っているのを見て頭にきたからという理解不能な理由で)という体験をした事がありますので、多くの市民と接している時のセキュリティの難しさも分かっています。

しかし、元総理であり、政権党最大派閥の長があのように無防備な状態で演説をするのはやはりリスクが大き過ぎます(例えば交通規制も全く無かったので、後ろを至近距離で通過する車両から狙撃される可能性もありました)。やるのであれば、事前・直前周辺チェックを綿密に行い、要人警護任務の警察官を徹底して貼り付け、狙撃等に対応できるプロ中のプロを数名配置するのが絶対条件でしょう。

報道によると、警視庁のSPは一人しか派遣しておらず、あとは奈良県警の警官だったそうです。県警の警官がどれほど狙撃に対する訓練を受けているか分かりませんが、銃撃時の動画を見ると一発目の銃弾は当たって無いように見えますので、二発目の発射まで安倍元総理を体当たりしてでもしゃがませる事ができなかったのか。もしくは、防弾ベストを着用しているであろう警官が身を挺して複数名で盾になる事ができなかったのか。考えれば考えるほど残念でなりません。

“He was a political giant,” says Jeff Kingston, the director of Asian Studies at Temple University Japan. “He has been a continued towering presence… His voice carried considerable weight.”

(Time.com JULY 8, 2022)

【同誌7.15発行予定の表紙】

安倍元総理が次号の米国TIME誌の表紙になる事が決定したそうですが、私の元にも海外の友人や知り合いから多くのメッセージが届いています。某SNS上では、日本人からのメッセージよりも多いぐらいです。これほど世界的に存在感が大きかった首相は近年稀だと言っても過言ではありません。

それだけ多くの国際会議に身を粉にして出席され、日本のプレゼンスを高めて頂けたことに心から感謝申し上げたいと思います。本当にお疲れ様でした。どうか、安らかにお休みください。

【国会議員時代の写真】

【国会議員引退後、表敬訪問時の写真】


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、元参議院議員の松田公太氏のオフィシャルブログ 2022年7月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。