ホワイトカラーの仕事が激減する近未来:『2025年 日本経済再生戦略』

成毛眞氏と冨山和彦氏による『2025年 日本経済再生戦略』によると、個人としてしたたかに生き抜いていくことこそに、日本経済を救う処方箋があるといいます。

成毛氏は、日本企業の「おんぶにだっこ」体質のために、生産力も国際競争力も落ちていると指摘しています。日本企業は個人消費で食っている割合が50%を超えており、これを成熟した証しとみる向きもありますが、「官製内需」と突き放します。

冨山氏は、労働者の2割でしかない大企業労働者に着目した左派と、圧倒的多数の中小企業に注目した自民党の戦略眼の差に着目。自民党が農家と中小企業オーナーファミリー層を補助金なりなんなりの「官製内需」でがっちり抑えることによって、「まかないの仕組み」をがっちり築き上げた。自民党の圧倒的な戦略勝ちであると喝破しています。

しかし、これらの仕組みが機能不全を起こしているために、どうにもならないのが日本経済だというのがふたりの味方です。

そのための各々の処方箋が示されていて、どれも説得的であります。

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そのなかで、ホワイトカラー=サラリーマンへの指摘がとても印象に残ります。

冨山氏は、今後ホワイトカラーの仕事は激減すると覚悟しておいたほうがよいと喝破します。しかも、メーカーなどの場合、営業部門や管理部門の40歳以上の人たちをいきなり半分に減らしても事業運営にはなんの影響もないと言います。

デジタル化・リモート化・AI活用によって、ホワイトカラーの仕事はどんどん軽くなっていっています。一方で、エッセンシャルワーカーは世界中で不足しており、こちらの需要は今後も順調に伸び続けます。

そこで生き残るには、新たなる中産階級としての「エッセンシャルワーカーへの転身」か新たなる能力を身につける「自己トランスフォーメーション」しかないようです。

後者は誰にでもできるものではないので、前者への転身となりますが、ホワイトカラーのおじさんたちは、この意識変革に耐えられるでしょうか。

そして、「人の役に立つ」という視点も非常に重要です。

社会はボトムアップでしか変わりません。個々人が発言し、行動することでしか、幸せはつかめないでしょう。