絶対に敵に回してはいけない2種類の人間

黒坂 岳央

黒坂岳央です。

基本的に「敵は作らないに越したことがない」というのは言うまでもない。しかし、あえて「このタイプだけは避けたい」と個人的に思う2種類のタイプの人間がいる。

それは、

失うものがない好戦的な人
お金も時間もある好戦的な人

である。前者はいわゆる無敵の人で法や合理性が通じない相手だ。後者は持っている資源を活用して、合法的に攻撃をしてくる相手である。両者に共通しているのは、「戦いに時間を使える」という点である。

beest/iStock

失うものがない人と戦うな

失うものがない人とは戦うべきではない。

こうした属性の持ち主は、蛮行に及んでも被りたくないと思う損失がない。それ故に相手の身を滅ぼすことで得られる彼らの達成感や爽快感というリワードと、捕まったり戦いに使う資源の損失を天秤にかけた際に、圧倒的に前者が勝るという状況だからである。「こいつを道連れにしてやる」と、彼らの恨みを買ったら終わりである。

その逆に、ビジネスマンとして信用を積み上げて来たり、大事な家庭を持っている「守るべきものがある人」は、戦いにおけるリスクリワードが悪すぎるという本質があるため、争うこと自体が敗北に繋がりかねない。

無敵の人は法治国家として機能するルールを乗り越えてくる相手である。そのため、決して敵に回してはいけないのだ。

ヒマで好戦的なお金持ちとも戦うな

無敵の人と争ってはいけないことは、すでに周知の事実である。だが、戦ってはいけない相手はそれだけではない。ヒマを持て余しており、かつ好戦的なお金持ちも敵に回してはいけない。個人的に、より厄介な相手はこちらかもしれない。

筆者はSNSなど、オンライン上でこうしたタイプの怒りを買ったケースを見てきた。名誉を傷つけられたと感じる発言を受けたある人物は、自身の影響力やフォロワーを使って相手を徹底的に追い詰めた。しかも法に触れない範囲で、極めてテクニカルに攻撃をしたのである。相手はたちまち白旗をあげたが、攻撃は止むことはなく相手が甚大な社会的ダメージを受けたことを確認して、ようやく執拗な攻撃は止んだ。見せしめとしての効果を期待したのかもしれない。

無敵の人は法を乗り越えてくるが、その攻撃は物理的によることがほとんどだ。その一方で、合法的に争う後者のタイプは、オンラインや法的措置を持って積極的な反撃をしてくるため、一切のやり取りがネットワーク上で完結してしまう。それ故に、下手に彼らの怒りを買うと、物理的な距離を問題にせず、ダメージを受けることになる。しかも相手は時間だけでなく、資金や影響力もある。そうなると戦っても勝ち目はない。敵に回すには明らかに分が悪いと言えるだろう。

個人的に敵に回したくない2タイプを取り上げたが、そもそも現代社会は「争ったら負け」である。合法的に戦いに勝っても、争いに投じたエネルギーや時間は永遠に戻ってこない。また、好戦的な姿を見せることで周囲から冷ややかな印象を受けることがあっても、その逆はない。つまり、現代社会は勝っても負けても争った時点で損なのだ。戦わないに越したことはないだろう。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。