中国の台湾侵略を防ぐためアジア版NATOを創設せよ

ペロシ米下院議長の台湾訪問を受け、米中間と台中間の緊張が高まっている。現在、中国は軍事演習を行い、周辺諸国を威嚇している。今すぐに台湾有事となる気配はないにしても、一寸先は闇。ペロシ議長が帰国後、軍事演習から一気に戦争に突入する可能性もゼロではない。

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ロシアがベラルーシとの合同軍事演習から一挙にウクライナに侵攻を開始したことは記憶に新しい。今回の危機が避けられたとしても数年後、数十年後に、中国が台湾に侵攻することも考えられる(それは、軍事侵攻のみならず、静かなる侵略というものも想定しておかなければならないが)。

そのような中国の暴挙に対して、我々はどのように立ち向かうべきなのか? 台湾有事となれば、日本への影響も必至である。場合によっては、その機に乗じて、与那国、尖閣、宮古島などに中国軍が進出してくることもあり得るからだ。

我が国への中国の侵略を防ぐには、日米同盟の強化と日本の防衛力・攻撃能力の強化が何より重要である。そして、米国と台湾との緊密な連携、台湾有事の際には、米国が必ず出動するという姿勢を見せつけること(そしていざ有事の際には実際に参戦する)が、侵略を防ぐ抑止力となるだろう。

防衛力・攻撃能力を保有・強化するというと、リベラル派の人々はすぐに「戦争をするのか!」と非難するが逆である。戦争を抑止するための軍備強化であり、軍事同盟なのだ。また、今回のウクライナ戦争を見ても、自国は戦争する気がなくとも、他国が無慈悲に攻め込んでくることがあるのは一目瞭然。そのような時に、脆弱な備えでは、侵略されて、多くの人々が殺害されて、降伏・占領、日本解体である。そのような事態は何としても避けねばならない。

避けるための方策には、多国間軍事同盟の構築もあるだろう。北大西洋条約機構(NATO)が有名だが、そのような広範囲な軍事同盟をアジアの自由主義諸国の間で締結することが中国侵略を防ぐ鍵になるように思う(もちろん、その中にはアメリカも入る。本当ならばもっと早く構築しておくべきだったかもしれないが)。

ロシアも、ウクライナに侵攻しても、さすがにNATO加盟国においそれと攻撃はできない。加盟国に袋叩きにあうからだ。地域の安定を乱し、他国を強引に我が物にしようとする国は、諸国から攻撃されるという仕組みをアジアでも構築するのだ。

本来ならば、国連がその役割を担うべきだが、機能不全をきたしており難しい。そうであるならば、我々日本人が中心となってでも、新たな集団安全保障体制の構築を早急に推進していくべきだが、今の政治家や官僚にその気概と意思はあるか。