岸田政権は「学び直し」の重要性を説いている。
「会社の研修が増えてスキルアップできるかも」と、考えているビジネスパーソンも少なくないだろう。
しかし、(一部の企業や業務を除けば)会社があなたのスキルアップのために投資してくれると期待するのは甘過ぎる。
米国では、従業員のスキルアップのための研修は滅多にやらないそうだ。
理由は簡単で、スキルアップした従業員がすぐに転職したら、研修は転職先の会社のためにやったのと同じことになるからだ。
転職が日常茶飯事である米国ならではの事情だ。
ほとんどの会社で終身雇用が維持されていた当時の日本であれば、従業員のスキルアップは会社の利益につながった。
かつての日本の会社は(米国の会社と異なり)従業員のスキルアップに積極的だった。
社内留学も頻繁に実施されていた。
しかし、「終身雇用は維持できない」と言われ、転職や副業が拡大しつつある今の日本の会社は、(会社の業務に必須のスキルは別として)従業員の「学び直し」への投資には消極的になっている。
「学び直し」は自腹でやらなければならない時代が来ているのだ(「自己啓発」という都合のいい表現がまさにそれだ)。
自腹による学び直しの方法論として書いたのが、新著「すぐに結果を出せるすごい集中力」だ。
「自宅は小さなマンションで小さな子供もいて勉強なんてとてもできない」と嘆く人が少なくない。近くに自習室等の適当な学習環境もないと。
それに対し、拙著では「私たちは3次元空間に生きているのではなく、4次元空間に生きている」と説く。
時間軸を加えれば4次元だ。
狭いマンションで子供たちがうるさくても、時間をずらせば学習できる。
子供たちが起床する前の早朝1時間でも十分だ。それが習慣化すれば、1ヶ月で30時間前後も勉強できる。
車の中で資格試験の勉強をして合格した人がいるとも聞いている。
「禍転じて…」と言われるように、いつでも使える贅沢な書斎を持っているより「限られた時間」「限られたスペース」しかない方が、かえって勉強がはかどるものだ。
繰り返すが、「学び直し」を会社に期待してはいけない。
そして、厳しい環境も工夫次第で最高の結果につながるということを忘れないで欲しい。
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編集部より:この記事は弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2022年8月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。