本日、厚生労働省が、今4月11日時点の待機児童数を公表しました※1。待機児童数は、全国で2,944人と、去年より2,690人減少し、調査を始めてから最も少なくなり、約85.5%の市区町村で待機児童が解消したということです。
待機児童という大きな課題の解決の兆しが見えてきた今、これまで光が当たってこなかった親子の存在に目を向けるときが来ています。保育所にも幼稚園にも通っていない未就園児、いわゆる「無園児」の家庭です。
「無園児」になる理由は、専業主婦で保育所を利用できなかったり、障害児で入園を断られたり、外国籍でそもそも入園手続きを知らなかったり・・・と様々。
無園児家庭は、「孤独な子育て」に陥りやすく、24時間小さな子どもと過ごすことでストレスがかかり、虐待リスクも高まることがあります。不幸にして虐待が起きてしまっても、誰も気づくことができない・・・
フローレンスが株式会社日本総合研究所に委託して実施した調査によると、無園児家庭は、保育所や幼稚園を定期的に利用している家庭に比べて、子育てで孤独を感じやすいことがわかりました。
以前の記事でも書きましたが、僕は、どんな家庭でも保育園を利用できるようにすべきだと思っています。現在の保育園は、基本的に共働き家庭のための施設ですが、これからは、どんな家庭で1~2~2回でも保育園を利用できるようにする。つまり、保育園は「みんなの保育園」になるべきだ、と。
待機児童が減少し続ける今こそ、「みんなの保育園」の実現に向けた議論を本格的に始めましょう!!
みんなが保育園を利用できるようになれば、保育士が虐待などの異変に気づくことができ、早期に支援につなげることが可能になります。保育園は、保育を提供するだけでなく、子育ての「セーフティーネット」として重要な役割を担うのです。
こども家庭庁の概算要求に「みんなの保育園」のモデル事業が入った
国も、僕らが訴えてきた「みんなの保育園」の重要性をわかってくれて、「骨太の方針2022」に載りました。
そして、今日内閣官房が発表した「こども家庭庁」の来年度予算の概算要求※2にも、「みんなの保育園」のモデル事業を実施する、といった内容が入りました!
うれしいっ!!
話を聞いてくださった厚生労働省、国会議員のみなさん、ありがとうございます!
自治体職員・議員のみなさん、モデル事業への手挙げをお願いします!
「みんなの保育園」は、やっとスタートラインに立ったところ。
来年度からモデル事業が始まる予定です。大事なのは、自治体がこのモデル事業に手挙げし、試行することです。
9割近くの自治体で待機児童が解消していて、保育所に空きが出ている自治体も多いはずです。自治体の職員、議員のみなさん、空き定員を活用して、モデル事業を実施してください!
孤独な子育てで苦しむ家庭を保育園につなぎ、みんなが笑顔で子育てできる社会を目指しましょう!!
※1 厚生労働省「「保育所等関連状況取りまとめ4年4月14月1日)」を公表します」(令和4年8月30日)
※2 内閣官房「令和5年度予算概算要求(案)の概要」
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のnote 2022年8月30日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹noteをご覧ください。