大誤報!萩生田氏記事「…証言 元女性信者が赤裸々に!」はデマ

旧統一教会関連報道のある記事について、明確に誤報(デマ)であることが判明しました。8月29日に報じられた以下の記事は事実と異なることを配信社が認め、削除の上、謝罪しました。

takasuu/iStock

今回誤報と判明した記事

今回、誤報と判明したのは、8月29日に配信された下記の記事です。

『旧統一教会イベントでの安倍元首相側近・萩生田光一氏「四つん這い」証言 元女性信者が赤裸々に!』(東スポWeb 2022年08月29日(月)11:30)

9月6日現在、同社のウェブサイトからは既に削除されており閲覧できませんが、exciteニュース上には残っております。

このURLの記事はみつかりませんでした - エキサイトニュース

※画像はエキサイトニュース・サイトより

誤報として削除された記事の内容(要旨)

記事に記載のあった萩生田氏と協会の関係性について、その要旨を以下の通り列挙します。

  • (2013年5月頃、萩生田氏が)教団の敬礼儀式、通称「統一礼拝」でヒザをつき“四つん這い”になった
  • 萩生田さんが参加して、私たちと同じように礼拝を1000回やったという話が信者間で広まった
  • みんなと一緒に50回ぐらいやって、幹部の人と出ていった
  • 萩生田さんは11年ごろ、八王子の高級ホテルなどでセミナーをやっていて、そこにも教団の信者がスタッフで行かされてました
  • 萩生田さんは文鮮明教祖(故人)の親族から直接応援されていて、教団内でも強い力を持つ感じ。信者の間ではそういう認識があった

これら一連の情報は「17年に教団を脱会した40代女性」という匿名の方の証言に依拠していました。また一部は、他社既報の「信者だった元教会職員」を名乗る(匿名)関係者の話も元にしていると思われます。

当該記事を誤報と判断した根拠

Facebookに「はぎうだ光一」というアカウントがあります。そのアカウントに9月5日(:推定)頃、内容が読み取れる書面の写真画像が掲載されていました。(画像はFacebook上の現物をご確認ください。)

その内容を読み取ると、令和4年9月5日付けで、東京スポーツ新聞社法務・広報室長から、ある法律事務所宛に送られた回答書と確認できます。内容は下記の通りです。

令和4年9月5日
(宛先)〇〇法律事務所弁護士〇〇先生(三名)
(発信元)株式会社東京スポーツ新聞社 法務・広報室長〇〇

8月31日付「通知書」に回答申し上げます。

弊社ウェブサイトからご指摘の記事を削除した上、弊紙紙面にて以下の文を掲載いたします。

8月29日配信記事「旧統一教会イベントで安倍元首相側近・萩生田光一氏『四つん這い』証言 元女性信者が赤裸々に!」は事実と異なるものでした。削除しお詫びいたします。

文面等にご意見・ご注文ございましたらお願いいたします。8日までお待ちいたします。それを承りまして掲載したく思います。

(以上、フェイスブック上に掲載された回答書の画像より筆者が文字起こしの上引用、太字は引用者。また、括弧は引用者註、〇〇と伏せた文字は実際には黒色塗りつぶし)

根拠とした投稿の信憑性

次に、この公開された回答書の信憑性について考えます。

一部報道によればこのアカウントは萩生田氏の事務局が運営管理しているとのことです。

そしてこの投稿画像については、筆者が持つ他の情報と突き合わせても整合しており、本物であろうと確信しております(さらに、「ある法律事務所」は、出鱈目な内容の当該記事についての対応を受託したものと推定しております)。

考察

従前、「元信者の証言」という匿名かつ確認不能な“根拠”を元に、数々の真偽不明な物語が報道されております。一般論として週刊誌や夕刊紙に加え、全国紙の新聞社でさえも、その報道の多くには、事実に反する内容の記述が含まれていることがあります。しかも、それらはほとんど訂正されることもなく、訂正されたとしても目立たないページで小さな訂正記事を載せる程度の扱いがほとんどです。

一方当該記事については、一部訂正ではなくお詫びの上削除という対応です。従って、一部に不正確な記述があったレベルの間違いではなく、証言に基づく関係性の描写全体について、その事実の裏付けがないか、事実であることの証明ができない水準の誤報と考えます。つまりデマと看做します。

なお、記事の削除とお詫びに関する報道は「8日まで要望を待ったうえで掲載する」という旨も記述されているので、9日以降改めて確認します。

まとめ

日本社会はいつまでこんな野蛮なリンチを繰り返すのでしょうか。元総理の非業の死に端を発する政権・与党バッシングは、飽きもせず虚ろな騒動を続けています。そして今回のように誤報と判明しても、誤報を打ち消すのに十分な量と頻度で訂正が周知されることはありません。

偽の“道徳的正義”を手にしたメディアは事実無根のデマまで創作して“生贄”を設定し、リンチ対象者たちの虚像を膨らませます。一部の国民はそれを真に受けて「絶対安全な場所から他者を非難する」という冷酷なエンターテインメントを楽しんでいるようでもあります。普段なら理性で調教している「野獣に近い欲望」(≒まぎれもなく人間の本能の一部)を満たさせる陰惨なイニシエーションともいえるでしょう。その恐ろしさは生贄に設定されてみなければわかりません。

マスメディアと一部野党は、閣僚や政権与党に対しては事実無根の記事や番組までも政権攻撃や政争の具としています。この構造は今に始まったものではなく、少なくとも一世紀以上の歴史があります。その愚かしさについては77年前に一度、国を滅ぼす経験をして学習したはずですが、世代交代とともに忘却してしまったかのようです。

高札、瓦版、大新聞・小新聞、ラジオ・テレビ、インターネット・SNS等々、時代とともに媒体は進化しております。その一方、それを活用する国民の知性が向上しない限り、伝達内容やその信頼性、あるいは“愚かな揉め事社会”を進化させることは難しいでしょう。