地元の住民が激減している観光地ベネチア
ベネチアは118の島が潟(ラグーン)を形成し、島と島を繋ぐ455本を数える橋から成り立っている。年間で3000万人の観光客がベネチアを訪問。その一方で、地元の住民は毎年減少。今年8月11日には遂に5万人を切る4万9899人となってしまった。(8月21日付「エル・パイス」から引用)。
地元の住民は住みたくても日常の生活必需品を手に入れるにも事欠く状態にあるという。また、家賃も高騰。家賃が高い分、ショップも利益の上がるビジネスを展開する必要がある。それでレストランやバルは賃貸で経営している場合は特に価格の高いメニューで高い家賃を賄い、またショップも観光客相手の商品を中心にした構成になっている。
例えば、地元の住民が毎日買いたいパンを買うにも遠くまで歩かねばならないという状態にある。だから、高齢者には住めなくなっている。
半世紀で12万人がベンチアを去った
全てが観光客を対象にした体制になっているということだ。1950年代には17万4000人の地元住民が住んでいた。
ところが、現在まで12万人がベネチアを去っていったという。それでも2016年にはまだ5万5000人が住んでいた。ところが、今年8月には遂に5万人を切ったということで、地元の住民にとって心理的にマイナス影響しているという。5万人というのが地元の住民にとってそこから去るのを避ける心理的な壁のような役目をしていたというわけだ。
働く人の家が見つからない
現在のベネチアの一般住宅の58%は観光客を対象にした宿泊所になっている。というのも、住宅の持ち主がベネチアを去って観光客向けに賃貸するのが盛んになったからだ。短期間のサイクルで家賃を稼ぐということに魅力を感じている。
それは逆に、外部から来てベネチアで働く人が住む家が見つからない状態にあるということだ。というのも、働くには長期間借りれる家が必要がある。一方の持ち主は長期間貸すことには関心が薄い。稼ぎが少なくなるからだ。
ということから、毎年およそ1000人がベネチアから去っているそうだ。