黒坂岳央です。
最近、買い物や仕事で海外にいる外国人と、ほぼ毎日英語でコミュニケーションを取っている。そこで感じることは「交渉力が重要」という事である。もちろん、英語力も大事だ。交渉する上では英語力は必要となる。しかし、仮に英語力がなくてどうしても困る場合は、通訳者を雇うという選択肢はありえる。だが、相手との交渉だけは自分自身で行う必要がある。
交渉力は、日本人同士のビジネスコミュニケーションではそれほど必要としない事も多い。あれこれ言葉を尽くさなくても、同じ文化圏同士通じるからだ。だが、これが文化のまったく異なる外国人とのビジネスコミュニケーションになると話は違ってくる。
初期不良返品でさえ交渉が必須
先日、北欧の企業からデジタルデバイスを購入した。
ものすごく使いやすく、大変気に入って使用していた。だが丁寧に使っていたのに、購入から1ヶ月ちょっと経過したタイミングで、使用中に頻繁に電源が落ちる状況となった。PCとはUSB接続なのだが、いきなり電源が落ちるということでハードウェアに問題があると感じた。サポートセンターは、「英語/ドイツ語」しか選べない。筆者はドイツ語がわからないので、英語でのコミュニケーションを希望した。担当者は非常に丁寧に対応してくれ、自分も先方の指示通り、1つずつ障害の切り分け作業をした。
だが、埒が明かない。最初はソフトウェア側の障害を探っていた先方だが、その内「あなたの使い方に問題があったのでは?」「使っているPCに問題があるから対応はできない」などと言い始めた。
ここまで来て、一次受付担当者の権限で対応可能な範囲を超えたのでは?という直感が働いた。日本だと「詳しい上の者に変わります」と先方で判断してさっさとエスカレーションしてもらえるのだが、海外では必ずしもそうではない。一次受付が頑なに与えられた権限内で収めようとするケースは、今回に限らず過去にも何度も体験済だ。
そこで「あなたのこれまでの素晴らしいサポートに感謝したい。だが自分は問題を解決したいので、よければより強い権限を持った担当者へエスカレーションをしてもらえないでしょうか?」と伝えると、すぐさま上司に代わって「これまでのやり取りをみた。どうやらデバイス本体に異常があるケースなので代品を発送します」ということで解決した。
「最初からすぐ代わってよ!」といいたいところだが、とりあえずホッとした。この件に限らず、サポートセンター窓口で交渉する力が必要になる場面はある。
誤解のないようにいっておくが、よくある老害クレーマーの要領で「お前じゃ話にならない!上司を出せ!」などと怒り出すべきではない。あくまで丁寧かつ先方の対応に感謝を伝えつつ、エスカレーションを提案する必要がある。相手へ気を使い、手間もかかる。
受け身の姿勢では損をする
過去に外資系企業で多国籍の人と仕事をしたし、今も仕事で関わることがあるが外国人とのコミュニケーションでは受身の姿勢では損をすると感じる。自分が求めることはこうで、相手にはどういうアクションをいつまでに求めているか?ということをしっかりとしつこく伝えなければ、相手からの優先順位を下げられ、放置されてしまう。
日本人相手だと「相手からしつこいと思われないか?」と不安になってしまうかもしれないが、受身の姿勢で待っていたらいつまでも待ちぼうけを食らってしまう。広い世界の中では誰もが高い道徳観、倫理観を持って何事も律儀に約束を守って仕事を進める日本人の方が「ユニークな存在」と思うくらいでいいのではないだろうか。
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