なぜ自らレッドオーシャンに入ろうとするのか?

最近はメールマガジンやブログといったテキストベースの情報発信よりも、ユーチューブやティックトックといった動画ベースの情報発信が人気です。

私も一時期ユーチューブで毎日配信していましたが、今は中断しています。

毎日書いているこのブログは、続けることにあまりストレスを感じないのですが、動画は撮影に気が進まないことが多く、自分にはあまり向いていないようです。

Nuture/iStock

動画配信に参入している人が相次いでいますが、今やユーチューブは過当競争のいわゆる「レッドオーシャン」になっています。

私が専門としている資産運用やお金の話でも、たくさんのユーチューバーがいて、わかりやすい動画を次々にあげています。

時間をかけてコンテンツを練り上げ、丁寧に編集したクオリティーの高いものでなければ、もはや勝負になりません。

しかも、人気ユーチューバーになったとしても、ちょっと手を抜くとすぐに他の人たちに抜かれてしまいます。

このように考えると、ユーチューブのような旬なサービスに参入して競争することは、あまり割が良いものでは無いのです。

これは、どのビジネスでも同じように当てはまることです。

有望なビジネスエリアと考える人が増えてくると、そのマーケットに参入する人が増えてきます。参加者数が増えて競争相手が多くなるだけではなく、優れたプレイヤーがたくさん入ってくるので、競争優位を維持することが難しくなります。

また、レッドオーシャン市場では競合が価格競争を始めることが多く、ディスカウント競争からマーケットが値崩れしてしまい、収益性が維持できなくなるのです。

市場がレッドオーシャン状態であるなら、その中での差別化を保てるかどうかを考えるべきです。もし他のプレイヤーと差別化できないのであれば、潔くその市場から撤退し、新しいマーケットを探すのが賢明です。

差別化によるオンリーワン戦略こそが、価格競争に巻き込まれないサスティナブル・ビジネスの基本。だから、他の人にもできることをレッドオーシャン市場でやってはいけません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年9月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。