日本の賃金を取り巻く環境が、気が付かないうちに大きく変わっています。
図表はOECDが世界各国の実質賃金を比較したものです。多くの先進国の実質賃金は増えています。その一方で、日本だけ下落傾向になっていることがわかります。
厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査の概況」によれば、2018年時点における日本全体の平均世帯年収は552.3万円で、中央値は437万円です。 1千万円を超える世帯は10%程度にすぎません。
サンフランシスコでは、年収が1400万円以下の世帯は貧困層に分類されているそうです。単純比較はできませんが、この基準を当てはめると、日本人の9割以上は貧困ということになります。
日本企業の平均給料が上がらない中、日本のサラリーマンだけがどんどん貧乏になっている状況です。
その現実に中高年になってから気がついても、もはや転職も難しく、今の会社にしがみつくしかありません。ようやくサラリーマンが「安定」ではなく「リスク」であるということに気がついても、もう手遅れなのです。
同じ会社に長く勤務するのは、変化に対応する必要がなく安定していて、一見楽に見えるかもしれません。しかし、同じ会社の勤務期間が長くなればなるほど、自分のスキルが社外一般に通用しないものに陳腐化していくリスクが高まります。
また、サラリーマンの収入は自分が決めるのではなく会社によって決められます。転職してキャリアアップできる一部の人を除けば、会社と運命共同体になってしまい、支配されてしまっている状態です。
だからリスクに目覚めた20代、30代の人の中には、キャリアアップや副業などによって会社の支配から脱却しようとする動きが出ているのです。
環境変化や技術進歩により世の中が変わっていく中で、自分だけが安定していれば、変化に取り残される事は明らかです。
「安定こそがリスク」という逆説的な事実に早く気がつき、リスクを取って変化を自ら積極的に受け入れる。
サラリーマンこそ「リスクを取らないリスク」に早く気がつくべきです。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年9月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。