拙著「すぐに結果を出せるすごい集中力」を執筆するに当たって、ある意味最悪の環境にある人の相談を受けた。
シングルマザーで子どもは3人、小4と後の2人は保育園という環境にある人だ。宅建試験合格を目指しているとのこと。幸いにして衣食住の心配はないが、一人で子ども3人の面倒を見なければならない。仕事が終わると幼子の世話をしなければならないので、本書で紹介した雑音対策グッズなどは使えないという(幼子の様子を聞き逃してはならないため)。
方法論の第一人者(?)と自称する私も、さすがに頭を抱えた。
よくよく聞くと、宅建業法のような暗記科目は半端な時間でなんとか勉強できるが、理解が必要な民法で困っているとのことだった。
私が授けたアイディアは以下の通りだ。
最も学習効果が高いのは人に教えることなので、小4の息子さんでもわかるように教えてみること。
それだけでは到底範囲をカバーできないので、他人の頭を借りること。
どうやって他人の頭を借りるかというと、ブログを書いてコメントで助けてもらうという方法だ。
「シングルマザー、宅建民法を教えてください」という題名にして、ハッシュタグをたくさん付ければ「教えたがり」がコメントをしてくれる。
人間は本来「教えたがり」な性分なので、有益なコメントも入ってくると予想した。
「小4の息子に民法の代理を・・・のように教えようとしているのですが?大丈夫でしょうか?」というような文面だ。
ブログを書く効用は、(文字化するので)子どもの面倒を見ながらでも書けるし、自分自身の疑問点をきちんと意識できる点にある。
幸い彼女は、以前、子どもの面倒を見ながらブログを書いていたので、ブログを書くことは得意だった。
シングルマザーの宅建民法ブログ、最初はあまりコメントがなかったが、密かに私が他の人の注意を引くようなコメントを入れたのが誘因だったのか、多くのコメントが寄せられた。
もちろん、コメントは玉石混交だったが、それがまたかえって考えるきっかけになったようだ。
日々のブログを習慣化することで、めでたく彼女は宅建試験に合格した。
以上、「教えること」「(ブログで)書くこと」「他人の頭を借りること」で困難な状況を乗り切った。
資格試験勉強や受験勉強でとても厳しい環境に置かれている人は少なくない。
しかし、工夫次第で何とかなると言うことを彼女は教えてくれた。
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編集部より:この記事は弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2022年9月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。