前々回の動画で2021年8月3日に、グーグルスカラーでh-indexが50に達成したことをお伝えしました。それから3ヶ月後の11月2日にh-indexが51に一つあがりました!そして2022年1月14日に52になったことも。前回から9ヶ月でh-indexが一つ上がって、本日2022年10月8日にようやく53となりました。
h-indexの詳しい説明は以下の動画にあります。
そして、前回50、51、52に達したときのお祝い動画は以下にあります。
【執筆論文裏話-19】祝!グーグルスカラーでh-index (h-指標)50達成!
【執筆論文裏話-23】祝!Googleスカラーで、h-indexが51に!
【執筆論文裏話-25】祝!Googleスカラーで、h-indexが52に!
研究者のKPI(key performance indicator)は査読付き論文の出版がほぼ全てだと言っても過言ではありません。その研究者がどれだけ凄いのかを評価するにはいくつかの指標が必要となります。
一番簡単にイメージできる指標は、査読付き論文の出版数ですが、ショボい論文を多く出版してもあまり凄いとは思えません。
論文が凄いかどうかは、投稿先の科学雑誌の権威でも評価できそうです。つまり、ネーチャーなどの「インパクトファクター」の高い雑誌に掲載されれば、論文は凄そうです。でも、雑誌は凄いけど、その論文自身が凄いかどうかはイマイチよくわかりません。凄い大学の学生にも落第寸前の学生もいることと似ています。
そこで、論文がどれだけ引用されたかの数値、「被引用数」も評価の指標になります。沢山引用されればそれだけ凄い論文というわけです。でも、論文が一本のみだと、一発屋の歌手のように(それでも凄いと言えば凄いのですが)安定感はありません。
そこで考えられたのが、「h指標」(h-index)と呼ばれる指標です。ウィキによれば、「その研究者が公刊した論文のうち、被引用数がh以上であるものがh以上あることを満たすような最大の数値」ということで、「論文数と被引用数とに基づいて、科学者の研究に対する相対的な貢献度を示す」指標なのです。要するに論文の出版数が多くて、被引用数も多いことが重要なのです。
ノーベル賞受賞の研究者の平均のh指標は40前後だということで、僕のh指標は50ですので、もしかしたら僕はノーベル賞級の研究者なのかもしれません。
先日発表されたノーベル賞で生理・医学賞を単独で受賞されたスヴァンテ・ペーボ博士の現在のh-indexはなんと、163という驚異的な値です。
ペーボ博士の本、スヴァンテ・ペーボ (著), 野中香方子 (翻訳)「ネアンデルタール人は私たちと交配した」を早速キンドルで購入して読んでいるのですが、その中で、ノーベル賞に繋がる大発見の研究成果をNatureやScienceではなく、Cellという専門誌に投稿するその裏話が載っています。1997年に出版されたその論文は、現在1933回の引用をされているようです。
h指標で気を付けないといけないのは、「引用に関する慣習は研究分野により異なるため、h指数は同じ研究分野における研究者同士の比較にのみ使用されるべき量である」ということです。
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動画のノギタ教授は、豪州クイーンズランド大学・機械鉱山工学部内の日本スペリア電子材料製造研究センター(NS CMEM)で教授・センター長を務めています。