「専門家」の予想レンジの存在価値

急速な円安が進む為替マーケットでしたが、昨晩日銀が再び大規模な円が1ドル売り為替介入を実施。1ドル= 150円台だったドル円為替レートは140円台半ばまで押し戻されました。

しかし、アメリカの金利上昇と日本の金融緩和の継続と言う構図には変化がなく、このままの状態であれば再び円安が進み、介入は「絶好の買い場」ということになりかねません。

今回ような相場の大きな変動が起きると、新聞に市場関係者の今後の予想が掲載されます。

今朝の日本経済新聞にも、市場関係者の年末までの予想レンジが掲載されていました(写真も同紙から)。

このような予想レンジが掲載される度に思うこと。それは、これなら市場関係者でなくても似たような予想ができてしまうのではないかという素朴な疑問です。

例えば、現時点で為替の予想レンジが140円から155円とするのは、現状が1ドル147円程度であれば、当たり前といえば当たり前です。

私は、予想をしているマーケット関係者を個人攻撃してディスりたいのではありません。このようなマーケットレンジを発表すること自体に無理があると思うのです。

わかりやすい答えを知りたい読者に応えたいという新聞社側の心理はよくわかりますが、このような数字を見たところで資産運用にはプラスになりません。

そして、このような予想は記事になった後から検証されることはありません。言いっぱなしに終わる責任の無いものです。

果たして、今回の予想はどんな結果になるのか?年末になったら今日のこのブログを読み返してみてください。年末に答え合わせをすれば、如何にマーケットの予想が難しいものであるかを実感できると思います。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年10月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。