カフェ・マックス(パリ7区)

「カフェ・マックス」初体験。下院や省庁街に近く、政治家御用達の老舗名物カフェ。今まで来る機会がなかった。

この秋オーナーが変わって、8区のガストロノミー「V39」のオーナーシェフ、フレデリック・ヴァルドンが「カフェ・マックス」も手掛けることになった。

雰囲気、素敵ねー。錫のバーカウンターにバンケット。ナポレオン三世治世のパリの雰囲気たっぷりで映画みたい。壁にかかる絵画やオブジェ、ディジェスティフ用の銀器(洗礼式の時の器出そう)は、以前のオーナーが蚤の市巡って集めたものだそう。

料理もクラシックなのでしょうね~、とワクワクしながらカルトとこんにちは。香り高いシャブリで乾杯し、ケークサレをかじる。

前菜は、本日の料理から、鴨砂肝のコンフィ。トゥールーズにいた頃、よく食べた懐かしい食材。芳醇濃厚な味わいにマーシュのサラダがピッタリ。ワインがすすむおいしさ。

友人は、ヴィッテロトナート。こちらは定番料理、かつ店の名物料理。なんでクラシックビストロでこの料理?という疑問は、友人のニコニコ顔を見て味見した瞬間に解消。ものすごく、美味!特にトナートソース、絶品。

主菜は、鴨マグレ。今日は鴨づくし。鴨、腿は好きだけど胸はあまり食べない。でも、”オレンジ風味”なんてクラシックを提示されたら、ついつい頼んじゃうよ。パリッとジューシーに焼き上げたマグレ、滋味深く旨し。筋も全然なくて上質で、焼き加減もとても上手。ボルドーのタンニンが程よく効いた赤がよく合う。

シェフは、以前からの腕利きがそのまま残ったそう。サービススタッフも同様。常連多数のお店なので、スタッフが変わらないのは大切。

デセールは、クレームカラメル。つるんとしたなめらかプリンと、カラメルというよりヴァニラシロップに近いソースがよく合って、いくらでもたべられるおいしさ。ヴァニラの量、ものすごい。マダガスカル出身のスタッフが、里帰りした時に買ってきたものだそう。

帰りがけ、「V39」を早めに上がってこちらに駆けつけたフレデリックシェフとおしゃべり。

ふと、フレデリックの横を見ると、おぉ、ジャン=ルイシェフ!「ラセール」の黄金期を作り今は自分の店で活躍しているジャン=ルイ・ノミコス、お久しぶり~。

この二人、揃ってスペシャリテが”マカロニのグラティネ”。「カフェ・マックス」でも出してるのだけれど、今日は「V39」でオーダー殺到、こちらで出す分の仕込みが足りず、売り切れだった。フレデリックシェフのマカロニ、食べたかったなー。ジャン=ルイシェフの、黒トリュフを香らせてフォアグラとセロリと合わせてコンテチーズでグラティネしたマカロニは、ラセール時代も今も大好物。

このマカロニ料理は、「ル・ブリストル」のエリック・フレションも作ってるけど、元は伝説の料理人アラン・シャペルのスペシャリテ。もっと元を辿れば、ルシアン・タンドレに行き着く、料理史上の名作クラシック料理。

マカロニ話で盛り上がる。「俺のが1番うまいよ!」、「いや、俺のが最高に決まってる!よし、こんど食べ比べしようぜ」と、おしゃべり弾むシェフたち。こういう仲よしシェフたちのお話聞くの、とっても楽しい♪

あーおいしかった、おなかいっぱい!

腹ごなしに歩いて帰ろう。お友達は明日からトルコにヴァカンス。いいな、あったかいところ。寒いパリにはでも、こういう素敵なビストロがお腹をほっこりあっためてくれるね♪


編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々4」2022年11月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々4」をご覧ください。