岸田総理と落語「寄合酒」 --- 中村 哲也

最近の総理の動向を見ると、上方落語「寄合酒」を思い出してしまう。

この落語は、町内の金のない連中が、皆で肴を持ち合う宴会をすることになり、その連中が料理をしたことがないゆえに起こすドタバタ劇である。

皆が皆、世話役の指示を誤解し、ある者はカズノコを煮てしまう。また別の者は鰹節でとった出汁でふんどしを洗ってしまい、出汁ガラの方を大事に残す。

立派な尾頭付きのタイをせしめた者は、世話役の指図でウロコを下ろすところから調理するのだが、匂いを嗅ぎつけたか犬がやってくる。

犬は、ワンワンと大騒ぎするので世話役の指示で頭を犬に与える。頭を食べた犬は、なお騒ぎ続ける。

仕方がないので、次は尻尾を与えるが、その後も犬は騒ぎ続ける。

そして、犬が静かになったので、世話役がこの若者に尋ねると、何を勘違いしたか、胴体も与えて何も残っていなかったというオチである。

料理をしたことのない者の行動として、聴衆の腑に落ちるところが笑いのポイントだ。

さて、岸田総理だが、大臣の更迭?が相次いでいるが、私にはマスコミ報道とそれに強く影響を受ける世論への対応であるとしか思えない。

最後は胴体をくれてやるオチがどうしても目に浮かんでしまう。

岸田首相 yotto/iStock

中村 哲也
団体職員(建設分野)