関東直下型地震と南海トラフが日本の財政破綻を導く

今から数年後に日本の崩壊が始まる

M(マグニチュード)7を超える関東直下型地震はもういつ起きても不思議ではない状態にある。東京都、千葉県、茨城県、神奈川県、山梨県を含めた地域のどこかで発生するということだ。犠牲者は2万3000人、全壊や焼失建物は61万棟と予測されている。

そして南海トラフは2030年を挟んでその前後5年以内に発生する確率は70%-80%と予測されている。南海トラフとは静岡沖の東海地震、名古屋沖の東南海地震、四国沖の南海地震を包括したもので、M8以上が予測されている。日本の全人口の半分に相当する6000万人が被害を受け、犠牲者は32万人。その内の7割が津波によるものと予測されている。

南海トラフが富士山の噴火を誘う可能性は十分にある。1707年の宝永噴火を最後に300年以上も眠った状態のままだ。大規模な噴火となるのは間違いないことで、都内には火山灰は10㎝以上積り首都機能は麻痺する。また溶岩は東海道新幹線や東名高速道路は完全に寸断される。被害総額は計220兆円億円。

火山灰はガラスの破片と同じで人体の呼吸器に入れば健康に重病に至ることもある。
火山灰が積もれば電線に影響を与え停電、さらにコンピューターの機能が衰え、車なども運転できなくなる。首都機能は完全に麻痺する。

Eloi_Omella/iStock

財政破綻を導く導火線になる

さらに怖いのはこの2つの地震と富士山の噴火で日本は財政破綻する可能性が濃厚になるということである。

ところが、今も多くの日本人は平和ボケが続いているようで、危機感がまったくない状態が続いている。この大惨事は仮に起きても、「なんとかなるだろう」という意識でいるようだ。日本の崩壊に繋がるという意識がないのである。逆に、その危険性を強調すればするほど余計な危機を煽っていると言って非難されるのが今の日本のレベルだ。政府やメディアもそれを意識しているのか、国民に余計な不安を掻き立てない方が良いと判断して沈黙している。

崩壊の危険性が高いのであるから、政府もメディアも率先してその危険性を国民に伝えて、それに備える準備をさせるべきであるのに、誰もが黙っている。唯一、その危険性を警告しているのは専門家だけだ。それに備えて、水や食料の備蓄は全国レベルで最低でもひと月が用意しておくべきだ。

2000兆円を超える損害を捻出できる可能性は薄い

関東直下型地震の場合、経済被害は47兆円と国の中央防災会議が2013年に想定している。南海トラフは170兆円としている。(2018年3月9日付「ウェザーニュース」参照

しかし、その地震の影響によってその後20年間に及ぶ経済損出を見ると前者は731兆円、後者は1240兆円と推測されている。(2018年7月9日付「日経ビジネス」参照)

即ち、この2つの大地震を20年のスパンで見ると2188兆円(47+170+731+1240)の損害を背負うことになる。 それに富士山の噴火による被害2兆5000億円を加えると総額およそ2190兆円となる。

現在の日本のGDPに占める負債はおよそ250%の1200兆円。しかも、毎年財政支出は続き、それを政府は国債の発行で補っている。日本の金融資産は2000兆円あると言っても、その内の凡そ半分は預金で、その大半は国債の購入に向けられている。企業の投資に向けられるのではなく、国債の購入ということで、これではなおさら国の経済発展にはつながらないことになる。

財政支出の歯止めがかからず、2030年の前後5年以内にこの3つの地震が発生し、それから20年が経過するまでに2190兆円の資金をどこから集めることができるというのであろうか。国債を政府が発行しようとしても市中銀行ではそれを受け入れる枡もほとんどない状態にある。

と同時に2大地震が発生すれば、日本の企業の活力は一気に衰え、GDPも大きく後退するのは必至である。だから、復興資金を集めるのはなおさら困難を伴うことになる。

ということで、この2大地震の発生は即ち日本の財政破綻を招く可能性は非常に高いということである。

確実に来る2大地震を前に、今も日本の政府も国民も「地震が起きても何とかなるだろう」という漠然とした意識しか持っていないことに筆者は驚いている。メディアも沈黙を守っている。これはメディアの本来の役目を果たしていないことを意味するものだ。

自民の政権運営が長すぎるのが問題だ。野党も頼りにならない。新しい政党が誕生して過半数の議席を獲得して政治・社会改革に乗り出す必要がある。

中国の属州になる可能性

資金難に陥った状態を機に中国が支援の手を差し伸べるかもしれない。それを受け入れれば、その時から日本は中国の属州になる始まりであろう。これまで米国の属州として戦後発展したことを思えば、それも当然の成り行きかもしれない。しかし、中国の配下になれば、これまでのような自由は謳歌できないであろう。