老化を早める3つのヤバイこと

黒坂岳央です。

「むやみに長生きはしたくないが、生きている間は若々しくいたい」

これが現代を生きる我々の切なる願いであろう。つまるところ、平均寿命ではなく健康寿命を伸ばしたいということである。筆者は昔から死と老化について考え続け、書籍や記事を読み漁ってきた。今回は、現時点で個人的に考える「老化を早める3つのヤバイこと」について取り上げたい。尚、筆者は医学の専門家ではないため、本稿の主張はあくまで統計データや状況証拠がメインとなっている点に留意頂きたい。

Deagreez/iStock

1. 孤独感

孤独感が老化を促進すると思っている。注意点は「孤独は状況であり、孤独感は主観」という点であり、今回は後者の前提で話を進める。

孤独感は本当に老化を促進するのか?それを示す状況証拠の1つが、独身男性の死亡中央値データである。コロナ影響を排除するため、2019年の厚生労働省データを参照するなら、日本人男性の平均寿命は81.41歳となっている。だが、独身男性は65~69歳の死亡率が最も高く、この数字は平均寿命と比べてかなり低いことがわかる。

考えられる根拠の1つ目は孤独感を深めることで、自身の生活習慣を顧みなくなることで老化が早まる状況を作り出すという仮説だ。これは筆者の経験値による肌感覚的なものに過ぎないが、自分が知る限り独身男性で栄養や運動など、健康に気を使って生活している人は既婚者に比べて少ないと感じる。会社員時代に、仕事はよくでき、インテリ派であるにも関わらず、食事や生活習慣にはまったく無頓着な人物は数多く見てきた。

もちろん、独身でも生活習慣を意識的に向上させ、健康寿命を伸ばす努力を続ける人物もいることはよくわかっている。だが、この統計データの状況証拠を見る限り、後者のケースはどちらかといえば少数であることが示されている。

ちなみに独身女性に同じ話は当てはまらない。その理由として、おそらく独身男性に比べて女性はソーシャライジング能力に優れ、コミュニケーションを好む性質、さらに生活習慣への意識的コミットメントの違いがあるのではないだろうか。その結果、孤独感を緩和し、健康維持になる生活を維持させる。この仮説が正しいなら、女性の方が孤独への耐性が高いと言えるかもしれない。

もう1つの仮説は生物進化論的な観点で導き出せる。シカゴ大学のJohn Cacioppo氏はScience News Explorersで次のように語っている。

the immune systems of lonely people were different in another way. They were primed especially to fight infections caused by bacteria. But not by viruses.

(引用元:Loneliness can breed disease)

これは孤独な人の免疫は、バクテリアが引き起こす感染症との戦いに対抗できても、ウイルスとウイルスが引き起こす病気に対してそうではないという主張だ。つまり集団を抜け、孤独感を味わいながら生きる人は、質的にある種の攻撃に対する抵抗力が落ちるということを示している。

考えてみればしっくり来る話で、太古の昔、集団から離れて孤独になれば、必然的にソーシャルディスタンスが実現した。そのため、ウイルス感染への脆弱性の高まりは問題にならなかったはずだ。

しかし、現代社会はこれが悪く作用することで、結果的に寿命を縮める要因になっている。「平均寿命低下と老化は別ものでは?」という反論は当然想定される。しかし、孤独感は冠動脈性の心疾患リスク、心臓発作リスク、2型糖尿病リスク、認知症になる確率を高め、認知機能が衰える速度を速めると主張する専門家もいる事からも、孤独感が遺伝子と生活習慣や環境における老化促進のスイッチになりえる可能性は否定できない。

2. 飽食

もう1つは飽食である。空腹状態がいわゆる長生き遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子のスイッチングであるという説はあちこちで見られる。30%のカロリー制限をしたマウスやアカゲザルの方が、飽食で育てたアカゲザルに比べて毛並みや姿勢が若返ったことを示す実験結果などは探せばいくつも見つけられる。同じ霊長類ヒト科の我々にも同じか、近しい結果が期待できる。

また、ラボの結果だけでなく、進化生物学的な観点からも飽食が老化を促進する可能性はある。ある種の生物全体の生存可能性を高めるにあたり、飽食と長寿が成り立つことは考えにくい。なぜなら仮に草を食べる飽食の羊が長寿である場合、草はたちまち食べ尽くされ個体だけでなく種の生存を脅かすからである。

しかし、常に飽食状態が続いた羊に、老化を促進して寿命を縮めるスイッチングが作用するとなればどうなるだろうか?その場合、個体としては不利でも、種全体のサバイバルの可能性は高まることになる。餌となる草は食べ尽くされず、種全体の個体数は安定するためだ。その一方で餌が不足した場合、寿命を伸ばすサーチュイン遺伝子が機能するならやはり種としての生存可能性は高まり、この合理性は担保されることになる。

以上のラボの実験や生物学的状況証拠の観点からも、食べ過ぎは老化を促進するということは合点がいく。難しいこと抜きで考えるなら、食べ過ぎるとシンプルに消化酵素を大量に消耗し、それだけ肉体の損耗につながる。そのため腹八分目の食事は、理にかなったアンチエイジング効果が期待できるといえるのではないだろうか。

3. 運動

30代以降、運動をしなければ筋肉は毎年1%ずつ減少すると言われる。筋肉が衰えることで、人は緩慢に老化していく。基礎代謝が落ちることで太りやすくなるだけでなく、冷えを呼び込み、骨粗鬆症の原因にもなる。また、姿勢が悪くなることで見た目としても老け込んで見えてしまう。翻って運動により筋肉の維持をすることで、かなりの程度維持することが可能だ。

筆者は地方に住んでいるが、若い頃から農業や建設業ほか、肉体労働をしてきた人はかなり多いが、彼らは老齢期でも20代の若者に負けないくらいキビキビとよく動く。理想的には筋肉を失ってから慌てて運動を始めるのではなく、運動習慣を続けることであるだろう。

しかしながら手放しで運動を奨励することはできない。その理由として、過度な運動はかえって老化を促進するという事情があるからだ。たとえば長距離ランナーの中には、驚くほど老け込んでいるように見える人物が少なくない。ランニングをする中で紫外線を大量に浴び、長時間の有酸素運動による活性酸素の大量発生がその原因であると推測される。そのため、生活の中で運動を取り入れる上では「不足と過剰」の間を取る、バランスの取れたテクニカルな戦略の立案が肝要である。

これは何の医学的根拠もない話で恐縮だが、筆者は「速めのウォーキング」が、個人的に最適解ではないかと思っている。筆者は昔から長距離を歩いてきた。今ではビジネスの事務所にウォーキングマシンを導入し、読書や動画鑑賞をしながら毎日歩いている。その結果、脚力にはかなり自信があるし、理想的な体重を無理なく維持できている。脚力だけでなく、全体的に体力の衰えもまったく感じない。それでいて、紫外線や活性酸素による消耗可能性も低いし、器具も不要で誰でもできる。ウォーキングを生活習慣にぜひおすすめしたいと思っている。

様々論じてきたが、人間の体の機能性として使わない機能は自然に衰え、栄養や食事については不足より過剰に弱く、社会的な動物であるという生物学的な本質がある。つまり、適度な運動をして、食事は腹八分目にし、そして孤独感がない生活を送ることで老化要素を撃退できるのではないだろうか。

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