ドーハの奇跡:高齢化社会の医療の変換点

中村 祐輔

ドーハの奇跡

サッカーで日本がスペインに勝った。ボール支配率14%の勝利だ。2点目のゴールのきわどさも含め、ドーハの奇跡だ。もちろん私は夜中にサッカーを見るような体力は残っていないし、今日は内閣府「AIホスピタル」プロジェクトの評価委員会だったので、居眠りなどしていたら大変だ。会議でいつも居眠りしている人はうらやましくも、腹立たしくもある。

試合が行われたハリーファ国際スタジアム Shakeel Sha/iStock

それにしても、SNSにおける手のひら返しは驚きだ。勝てば官軍、負ければ賊軍と言われてきたが、負ければ人格否定が半端ない。日本人として悲しくもある。

高齢化社会の医療の変換点

しかし、明るい話題もある。今日はAIホスピタルプロジェクトに参加している5医療機関の発表があったが、4年半前にプロジェクトが始まった時には想像もできなかったような進歩があった。病院全体のAI化・デジタル化を目指したが、組織の指導部の意思決定が重要だと再認識した。

話し言葉のテキスト化は医療現場での負担軽減につながる重要なテーマだが、プロジェクト開始の頃には前途多難であった。「必要だけれど、そのプロセスで自分たちは苦労したくはない」「出来上がった時に使えばいい」という消極姿勢ではなく、自らが医療変革を起こすという強い意志が大きな岩を動かしつつある。

医療の変革がなければ、超高齢社会の日本の未来はないが、今日の5医療機関の発表を聞いていて、日本の未来がそこにあると感じた(17日土曜日の午後に、日本医師会館でシンポジウムがあるので是非、聞いてほしい)。

このプロジェクトは来年3月で終わるが、何とか皆さんには引き続き頑張って欲しいと願っている。このプロジェクトを何十年後かに振り返った時、日本の大きな変革につながったと評価していただけると確信している。

もっと書きたいことはあるが、さすがに東京への日帰り出張はきつい。

続きは、後日に。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2022年12月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。