リモートワークに向いていない人の特徴

黒坂 岳央

黒坂岳央です。

筆者は現在はあらゆる仕事をリモートワークで行っている。会社員だった頃は電車で都心のオフィスに通勤して働いていたが、その時と比較すると自分自身は断然このリモートワークのスタイルが向いていると感じる。「しんどいから満員電車に乗りたくない」といった稚拙な理由ではなく、他の人間が近くにいると集中できず生産性が著しく落ちてしまうためだ。

今は会社員ではないのだが、現在では他のビジネスマンとEメールやビジネスチャットで一緒に仕事をすることがあるが、その際「この人はリモートワークに向いていない。オフィスで働くスタイルの方が生産性が高いだろうな」と感じることがある。

今回は自分のビジネス経験の中で感じた、「こういう人はリモートワークに向いていない」という特徴を独断と偏見で取り上げたい。

SIF/iStock

テキストコミュニケーションが苦手

まずは何と言っても、テキストコミュニケーションが苦手な人である。これはリモートワークにおいて致命的な弱点になる。

リモートワークにおけるコミュニケーションの基本は、テキストである。オフィスと違って目の前にいないから、必然的にそうなるのだ。テキストコミュニケーションは上手に使えば非常に効率がよい。自分の都合で好きなタイミングでメッセージを送っても、相手の手が空いたタイミングで見てもらえば良い。また、やってもらいたいことが送られてくれば、それをToDoリストやリマインダーにコピペするだけで、アクションアイテムができる。

しかし、時々出くわすのがテキストコミュニケーションが苦手なタイプの人である。タスクの記述が抽象的だったり、いつまでにやってほしいか?という納期や優先順位が何も記述されていなければ、何度もメッセージを往復して「やってもらいたいことは、こういうことですか?」「納期や優先順位は?」という確認作業を余儀なくされ、お互いの時間と労力を毎回奪う。

口頭ではリアルタイムに確認作業ができるので、多少話し方が下手でも大きな問題にはならないが、テキストコミュニケーションだとどうしてもタイムラグが生じる。時には営業時間外だと日をまたいだ確認となることもあり、そうなると相手から返事が来るまでタスクが止まってしまう。相手がレスポンスが遅い人だと余計に困る。

リモートワークでは、相手の立場で考えたライティング力が必須スキルである。テキストコミュニケーションが苦手な人は、オフィスで口頭でコミュニケーションを取った方が断然効率が良いだろう。

指示待ち人間

リモートワークは率先して行動をする、セルフスターター気質でなければ生産性が高まらない。結論として指示待ち人間がリモートワークをすると生産性を落とすだろうと思っている。

その理由を話す。上司が指示を出すまで何もしないビジネスマンは、何もしないアイドルタイムが長くなってしまう。オフィスだとちょっとしたスキマ時間に仕事を気軽に頼めることでも、リモートワークだと具体的に記述したり、必要なファイルの送受信が必要なので自分でやってしまう人もいるだろう。

上司が部下に対して生産性を高く仕事を振るには、かなりのマネジメント力を要する。そのため人によってはマイクロマネジメントになってしまうが、リモートワークでこれをすると部署全体の効率が落ちてしまう。

また「指示待ち人間」といっても仕方なくそうなってしまう人がいる。たとえば入社したばかりの新卒社員や転職したての社員がそうだ。彼らは入社したてで、右も左も分からない状態なので勝手に独断専行で仕事を進める訳にはいかない。そのため、必然的に先輩社員や上司の指示を待つことになる。

オフィス空間においては、先輩や上司は彼らに簡単な仕事をふったり、マニュアルを読ませている間に次の仕事を準備しておき、新人の様子を見ながら徐々に仕事を振るという光景はどこの職場でも見られるだろう。しかし、これがリモートワークになってしまうと新人の状態が可視化されなくなってしまい、難しくなる。人によっては「相手を暇にさせてはいけない」と仕事を過剰に振りすぎたり、その逆に何もしない待機時間が長くなりすぎたりしてしまう。

結論的に、リモートワークは組織やチームを俯瞰する視点を持ち、率先して自分の権限内の仕事をどんどん進められるセルフスターター気質の人でなければ難しいだろう。

昨今、「リモートワークをさせない会社は遅れている。社員を大事に扱っていない」という声を上げる人がいるが、企業は利益追求組織であるためリモートワークで生産性が落ちるなら解除せざるを得なくなる。

先日から、米国ITテックを始め、比較的大手企業が次々とリモートワークを解除している。リモートワークで生産性が高められるのは、一部の大変優秀なビジネスマンか、クリエイティビティな職務につくビジネスマンに限られることが分かってきたのも、理由の1つではないだろうか。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。