『世界のニュースを日本人は何も知らない4』(ワニブックスPLUS新書)はアゴラでもおなじみのめいろまさん@May_Romaこと谷本真由美さんの人気シリーズの第4弾です。
今回も、日本にいたままでは気づかない、日本のよさ/残念さ、日本人の海外の認識の誤りというか思い込みを指摘してくださっています。
これまで日本人は、平和主義を叫んでいれば大丈夫でしたし、世界は安定しているように見てていました。しかし、ウクライナ侵攻によって、世界には日本人が絶対に理解できないロジックで動いている人たちがいるということが多くの人の目にもあからさまになりました。
次に何が起こるかわからない状況では、日本人はますます世界のニュースを知らなければならないでしょう。何も知らないままではひじょうに危険なのです。
この中には、
- 「SDGs」が通用するのは日本だけだった
- 「外国人参政権」は海外でもぜんぜん広まっていない
- 海外が「動物愛護」が熱心なのは虐待がすごいから
- 欧州にとってのロシアの本当の立ち位置
- 実は海外で評価されまくっていた「安倍元首相」
- なぜ「エリザベス女王」は人気があったのか
- 実は海外でも「ジェンダー平等」は進んでない
- アメリカの大都市は鉄格子の横から飯をもらう修羅の国
- 「サブスク」がオワコンになりつつある
- 海外ではAIが人間として認識されはじめている
など、日本人の海外への理想というか妄想を打ち砕く世界のニュースがちりばめられています。その中で、「日本の働く人の就労条件が悪い理由とは?」という箇所では、なぜ日本人の待遇がいい加減上がらないのか、ズバリ指摘しています。
その原因は本書を読んでいただくとして、どう考えても、昭和からつづく風習です。ですが、日本ではなぜか報道されず(報道機関自身がその風習の恩恵にどっぷりつかってきたこともあるでしょう)、たいへん不思議な状況となっています。
いまだになぜ大学を出てコストセンターにみんなが勤めたがるのかよくわかりませんでしたが、社会の構造がそうなっているんですね。
そして、「日本人がハッピーになるにはどうすればよいか?」の問いに対する答えは自明なのですが、なぜか合理的な判断がなされません。
ただ、仮に日本の働く人たちが、イギリスやアメリカのように、昇給を毅然とした態度で主張するようになると、回転ずしが一皿400円とか500円になる可能性もあるわけです。また、機械化によって逆にオペレーションが複雑になっているところに、日本の消費社会の不可解さを見てしまいます。
これは教育や税制、金融政策などをいじったくらいではどうにもなりません。その現実から目を背け、あまり関係のない部分の改革をして、矛盾を現場に丸投げしつづけてきたのが、昭和末期~平成の日本だったのではないでしょうか。その間に、世界はよくも悪くも激変してしまいました。
イギリスから見た日本をみなさんもぜひ確かめてみてください。