「国会の見える化」プロジェクト十年目と今後

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12月8日、私が理事を務めるNPO法人万年野党(会長:田原総一朗)で、第208回国会(2022年通常国会)の「三ツ星議員」を公表しました。

第183回国会(2013年通常国会)にスタートして以来、十年になりました。

 

なぜこんなことを続けてきたかというと、「国会の見える化」のためです。

多くの人たちにとって、国会で何をやっているのかはよくわかりません。たまにニュースでごく一部が報じられるのを見る程度でしょう。地元選出の議員ならば駅頭やお祭りなどで目にすることはあっても、国会で何をやっているかはよくわからないまま票を投じることが少なくないのでないでしょうか。議員の本来の仕事である国会での活動について、もっと「見える化」が必要との問題意識で行ってきました。

当初は「量の評価(一般表彰)」(質問回数・議員立法・質問主意書の数を集計して上位者に星をつけ、3つ集まると「三ツ星」)のみ行っていましたが、2016年からは「質の評価(特別表彰)」(優れた国会活動を行っている議員を選出)も加え、今日に至ります。

十年目を迎え、さらなるパワーアップを図ります。

第一に、大幅な迅速化です。

実はこの2年ほど、集計が遅れがちになっていました。これは従来、集計作業を人海戦術で行っており、コロナの影響で作業に支障が生じたためです。

今回、滞っていた集計を処理するに際し、データ抽出の自動化を導入しました。これにより、作業の効率化とともに、大幅な迅速化が可能になりました(もちろん間違いを防ぐための入念なダブルチェック体制は設けています)。従来はコロナ以前も集計に数か月かかっていました(このため、その間に選挙があって議員構成が変わってしまうこともありました)が、今後は閉会後速やかに集計・公表を行います。第210回国会(2022年臨時国会)分は、年内に集計・公表を行うべく準備しています。

第二に、より多くの人が参画できるプロジェクトへの拡大です。

従来は「質の評価(特別表彰)」は、「同僚議員の評価」(全議員事務所にアンケート票を送付)を中心に選出していました。これに加え、今回の第208回国会(2022年通常国会)からは、どなたでも評価に参画できる「一般向けアンケート」を実施しています。(詳細は上記公表資料に記載していますが、国会議員の評価と一般の方の評価の重みが概ね20:1程度になるようにポイントを設定して選出しています。)

一般向けアンケート」は、第210回国会(2022年臨時国会)分は12月19日まで受け付けており、来年の通常国会分以降も継続して行っていく予定です。

アンケートを通じ、ぜひ多くの方に「質の評価」に参画いただけたらと考えています。「メディアではほとんど報じられていないが、国会でこんな素晴らしい論戦をしている」といった活動をみんなで掘り出していくことが、国会論戦のさらなるレベルアップにつながるものと思います。

これまで「三ツ星議員」プロジェクトを進めてきた中で、選出方法などにつき批判をいただくこともありました。批判は大歓迎で、議論を重ね、改善すべき点は改善していければと考えています。「量の評価」だけ行うことへの批判を受け「質の評価」を加えたのもその一つでした。

「質問主意書」に関する批判もしばしばいただきます。「質問主意書の集計はやめるべき。閣議決定して回答する手間がかかるので、役所にとっては大変迷惑。数が多いことを評価すべきでない」といったことです。

この点は、趣旨はわかるのですが、一方で、質問主意書は、質問機会の限られる少数会派の議員などにとって重要な活動手法でもあります。例えば、第208回国会の「質問主意書」部門でトップの浜田聡議員(N党)は、単に数が多いだけでなく、内容面でも価値の高い事項を含み、素晴らしい活動ぶりと私は思います。もちろん質の評価は人によって異なるでしょうが、こうしたデータ公表をとっかかりに、みんなで検証・評価していくことが大事なのでないかと考えています。

何よりも、より多くの方々が関心を持って、「国会の見える化」に参画いただけたらと願っています。それこそが、より良い国会活動、より良い政策の実現につながるはずです。