安倍さん亡きいまトランプ再登板は日本と世界の悪夢だ

トランプ氏 同氏HPより

保守派の論客の歴史家と2024年の米国大統領選挙について議論していて、その方がトランプの復活を望むと仰るので、私は絶対に反対。バイデンもよくないが二者択一ならバイデンが日本のためにも望ましいといった。

なぜなら、トランプは安倍晋三というパートナーがいたからとんでもないことをしなかったし、日本にも配慮したのであって、安倍晋三がいなくなった以上は、もはや同じではないのを忘れている人が多い。

そこで、『安倍さんはなぜリベラルに憎まれたのか – 地球儀を俯瞰した世界最高の政治家』(ワニブックス)から安倍元首相とトランプについて書いたことを抜粋しておこう。

米紙ワシントン・ポストの外交・安保専門コラムニスト、デビッド・イグナチウス氏がコラムで、

「安倍首相はトランプ大統領の変則的な行動を管理するために、「世界で最も成功した指導者」「日米に利益となる合理的な政策のため、絶妙にトランプ大統領を言いくるめた」「日本の対米貿易黒字を批判して防衛費分担金増額の圧力を加えても、結局は安倍首相が要求する通りにしていた」「安倍首相は在日米軍基地なしに太平洋を守ることがどれだけ高くつくか、トランプ大統領に想起させながらも、『米国の若者たちが日本を守るために命を懸けていることに感謝している』と説得」「防衛費分担金増額の圧力を加えても、結局は安倍首相が要求する通りだった」「在日米軍基地なしに太平洋を守ることがどれだけ高くつくか、トランプ大統領に想起させながらも、『米国の若者たちが日本を守るために命を懸けていることに』感謝して説得した」「トランプ大統領の在韓米軍撤退を引き止めることができた」と称賛した。

「フィナンシャル・タイムズ」紙は、「日本の外交政策に『ルールに基づく世界経済秩序の擁護者』という新たな役割を持ち込み、法の支配へのコミットメントを共有するアジアでの連携を追求した」とした。

さらに、マイケル・オースリン(スタンフォード大学フーバー研究所)が書いて、Foreign Policy Magazineに書いてニューズウィーク日本版(電子版)に転載されている「安倍晋三は「顔の見えない日本」の地位を引き上げた」という記事では、「アメリカが安定した日本に慣れ過ぎてしまった今、今後は嬉しくない驚きが待っているかもしれない。米政府は過去10年近く、日本の指導者が日米同盟に完全に忠実で、国会でも多数の支持を得られて、世界第3位の経済大国にふさわしい役割を果たすかどうか、心配する必要がなかった。遠くない将来、アメリカと同盟国はそんな安倍時代を懐かしく思う日が来るかもしれない」としている。

メルケル首相が、「安倍首相は常に多国間主義に向けて努力してきた。日独間の距離にもかかわらず、両国は基本的価値を共有していることを示した」としているのは、こうしたことを評価したものだ。

さまざまな方面でのトランプの強硬策は、長期的にはアメリカの信用を傷付けマイナスになる可能性もあるが、短期的には世界最強のアメリカが力を振り回せば、世界各国はひれ伏すしかないのだ。そういう中で、日本やフランスのように、首脳がトランプと良好な関係にある国は、そうでない国に比べればやはり加減してくれている。

日本についても、市場の閉鎖性や対日貿易赤字を批判しつつも、「シンゾーを困らせたくない」ということでだいぶお手柔らかで済んでいることは間違いない。