パリ国立オペラ座バレエ「白鳥の湖」ヌレエフ。
今夜は家でじっとしてようと思ってたのだけど、お友達が招待してくれたので、ドキドキしながらもワクワク外出。2700人の、フットよりバレエを愛する人々と共に、素敵なソワレ。
パブロのウォルフガング&ロットバルトに、ブラーーーーヴォ!
特にウォルフガングの演技、最高~。眉間にしっかり皺を寄せての目の演技、秀逸。唇の使い方や手の使い方も極上で、ついに、愛するカデールとヤン以来の、最高に好みの演技派ウォルフガングに出会えた。期待値高かったけど、それを超えてきたパブロの演技。ジークフリートを完璧に支配下に置き、オディールとは見事な共犯性。完璧なマニピュレーターであり奸智にたけた悪魔。お見事!技術が多少ダメでも、問題ない。この演技と表現力だけで、十二分に満足。ウェーブを伸ばした髪型もよいね。
大好きダンサー。「マイヤーリング」のハンガリー貴族もよかったし、もっともっともっともっと踊ってね。
ジークフリートは、ユーゴに代わって入ったギヨーム。
ようやくギヨーム初体験できて嬉しいなぁ。去年、バジリオ見るはずが当日変更になっちゃって、「若手ダンサー公演」でしかちゃんと見たことなかった。ここ一年半で、ロメオ、バジリオ、ソローに大抜擢され続けてきた、ついこの間スジェになったばかり若手超ホープ。
なんといっても、立っているだけでエレガントできれいなアリュールがある、いかにもパリオペラ座的な雰囲気がいい。ロマンティックでポエティック、ナイーヴで柔らかな動きもいい。手首の柔らかな使い方も。技術自体はまだちょっと不安なところもあるけど(とはいえ、なりたてスジェとしては素晴らしい!)、十分。フィアンセたちを拒絶するのにもたついた?全員拒絶する前に、オディール到着のファンファーレなっちゃったね(笑)。3幕コーダの入りのグラン・ソー(っていうのかな?大ジャンプ)の滞空時間の長さと脚のきれいさにほれぼれ。
なんていうか、やっぱりバレエは見て美しい、が大切。ぶんぶん振り回すだけで動きがあまりきれいでない苦手の今宵のパ・ド・トロワ君の代わりに、飛び級でプルミエになるべきだった。
ドロテのオデット・オディールは、もちろんそつなく文句なく。技術、特にポワント技術、ほんと素晴らしい。腕は、まあ、可もなく不可もなく。よいのだけど、少々トゥーマッチに見えちゃう。表情は、オデットは前回に続きちょっと大袈裟、オディールは完璧。
パブロの悪魔ぶり&ギヨームのナイーヴさと合わせ、3幕の3人の表情、見事。パブロの演技がよすぎて、ここはやっぱりパ・ド・ドゥでなく、ロットバルトがしっかり絡んで成立するパ・ド・トロワなんだよね、と改めて思う。
2幕、4幕の白鳥達、きれいに揃って美しい。ヌレエフを受け継ぐカンパニー会心の出来。
オケは、出だしのオーボエとクラリネットをはじめ、ホルンもトランペットもフルートも、悲しすぎる・・。オペラ座オケ、バレエとオペラではそのレベルが全然違うけど、いくらなんでもこれはないよ・・。思わずプログラム見て、今日は学生オケかしら、と確認しちゃう。チャイコフスキーがかわいそう。一度でいいから、この作品(作品として大好き)、きちんとしたオケで聴きたい。
主役3人がいい出来栄え&相性よく、白鳥達もチャーミングで、心地よい公演。誘ってくれたお友達に感謝。
22時半、外に出ると、バスティーユ広場は思ったほどの騒ぎになってない。これ幸いと、そそくさと川を渡って家に戻る。
ブティックにいた”四羽のチビ白鳥”。クララ、イネス、ジェニファー、アンブルの踊りの方が揃ってたよ(笑)。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々4」2022年12月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々4」をご覧ください。