今年のつぶやき:歪んだ社会、試練の一年

2022年を総括すると、「なんとなく終わった一年」だった気がします。日本ではコロナから完全開放されたわけでもなく、人々は未だにマスクをしています。いや、マスクが取れなくなった方もいらっしゃるように見受けられます。国が全体として盛り上がることもなく、昨年、この項で書いた「興味ない世界は見ない、私は私」という新ミーイズムが形になってきたように思えます。私がマスマーケティングの時代ではないと申し上げたのは人々の感性が明らかに変わってきたと感じるのです。バラバラの社会が生まれ始めているようです。

では今年のつぶやきをお送りします。

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投資家には試練の一年

私が株式相場と向かい始めたのが13歳。それ以降、一日も相場と離れたことはありません。共に生き、共に呼吸をしてきました。プログラム売買がどれだけ普及しようが、AIやアルゴリズムがどうであっても究極には人が売りと買いの方針を立て、実行しています。長年やっているとこれが見えてきます。アナリストが何を言っても株価はその通りにはならない、と考えています。理論と現実は違うのです。そしてプロも苦戦した、これが今年の相場であったと思います。

株式投資は1回や2回当てればよいものではありません。長年、連続して安定してプラスを生み出さねば意味がありません。10万円儲けて20万円損したのではやらない方がよい、ということになります。しかし、人間の心理は一度、儲けると気が大きくなり、大きく張ったり、リスキーな株に手を出したりします。競馬をやる人の心理と同じです。マネー ⇒ ビジネス ⇒ 経済までは多くの人が理解しています。しかし、経済学は心理学と社会学の影響を強く受けるということはあまり知られていません。これらは三位一体の学問と言ってもよいのです。

株取引にはテクニックと投資姿勢の柔軟性も必要です。長期投資で何年も放置できる株もあれば、スウィング取引もある、人気銘柄もあるし、超短期決戦銘柄もあります。株価が上昇した背景、その会社の株価変動の癖といった特性を見ながら作戦を立てなくてはいけません。これがなかなか難しいのです。宝くじを買うがごとく、ぽんと買い、じーっと待つ人は多いでしょう。しかし、株価も株価指数も立ち止まることなく、常にうねります。そのうねりの初動に乗り、プロや相場付きに騙されないようにしたいですね。これが2022年の反省です。

歪んだ社会、試練の一年

今の時代に本格的な地上戦の戦争が起きると誰が思うでしょうか?それ以上に世の中は一枚岩になれなかった、国際情勢をみていて思ったことです。過去の戦争の時より酷いです。国内でも岸田政権は団結力ある力強さとはほぼ真逆の状態となりました。結局、そこに見えるのはエゴと自己保身のように見えます。バイデン大統領がこの一年、すごく戦ったかと言えばそんな印象はなく、とりあえず、任期の半分が終わったという感じです。企業も大きくなりすぎて、経営者が組織を把握できなくなりました。

GEは解体され、ツイッター社は出直し再挑戦です。東芝はようやく非上場化への道筋が出来ました。日本企業で今年儲けたのは商社。ある意味、つまんないな、と思います。2022年は企業活動においてスターが生まれませんでした。皆、小粒。以前、WEB3のトピで分散型自律組織の話をしました。実は私の会社はそれに近いことを実践しています。会社全体では整合性あるビジネス体系だけど各部門ごとに特化した能力や特徴を持たせて独自の道を歩んでいます。マスの時代ではないのはこういうところにも表れているのです。

とすれば世界も連合組織よりも二国間、それよりも独立独歩というスタンスすら見えてきます。インドなどはその典型です。数年前のグローバル社会の盛り上がりは何だったのか、ということになります。日本ではEVに関して意見が割れます。結論がない議論であり、結局、乗りたいものに乗ればいいじゃないか、と思います。これも「アンチマスの時代」を物語る一例です。それは逆に皆が賢くなったとも言えます。各自が意見と考えを持ち、自分の信念に合わせて行動しているのです。コマーシャルや社会の流れに押し流されないとも言えます。これは人間の進化のプロセスなのか、退化の入り口なのか、実に悩ましい課題をくれたものだと思います。

ひろの一年も試練の年

試練と言っても経営が傾いたとか、病気をしたということではありません。あまりにも果敢に攻めすぎてチャレンジも多かった、という意味です。なぜ、試練を自ら課さねばならなかったのか、といえば誰かがやらねば解決できないことだらけだったからです。私はやると決めたら絶対にやります。その点は剛腕型です。しかし、その道のりがたやすくなかったのです。社会との波長が合わないこともしばしばでした。

私は取引先や今までのやり方を変えるのは全くいとわないです。むしろ変えることで良い結果を生み続けてきました。それは自分への刺激でもあり、相手への刺激でもあります。だから面倒くさい男だと思われています。年末、マリーナのマネージャーが「信頼関係を長年築いた中で、俺はひろの会社で終身、働き続けることに迷いはない」と言われた時はうれしかったです。考えてみれば私の組織が嫌になって辞めた人は近年、一人もいません。今のチームは同じ顔ぶれで長年やっています。実にありがたいです。

今年1年、私にとって最大の収穫は新しい出会いや人間関係の深掘りが出来たことでした。もちろん、コロナ明けもありますが、積極的に人との接点を求めて行動した一年でした。これほど世界が広がった一年も少なかったかもしれません。結局、どれだけテクノロジーが進もうが、どこかで戦争をしようが、いがみ合いをしようが最後は人間関係なのです。クリスマスの日、行きつけの飲み屋は満席。カウンターバー越しにオーナーが「ひろ!ひろ!」と盛り上げ、「ショット飲まないと帰さない!」。飲み屋のみんなで盛り上がったのはとても良い思い出です。笑いがあって安堵があって、人間味がある世界は決してお金では買えないと思います。その点、私は試練もあったけれど、幸せな年を過ごしたと思います。

後記
アメリカでは「ベルトの穴が一つ増えると寿命が1年縮む」といわれるそうですが、先日、使っていたベルトが切れました。デブったわけではなく、同じ穴を長年使い続けた結果、パツンと切れたのです。そこまで同じベルトをするのか、と言われそうですが、健康管理をし続け、同じ穴を維持した結果と勝手に解釈しています。株がどうだろうが、世界がどうだろうが、ビジネスがどうだろうが、最後、落としどころは健康です。これだけは自分自身で管理するしかありません。ひろは今年も一年、よく頑張ったと自画自賛です。

ブログをお読みの皆様もお付き合いいただきありがとうございました。辛口コメント、来年もよろしくお願いします。よいお年をお迎えください。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年12月31日の記事より転載させていただきました。