読売新聞がけさの1面で報じたのは、非正規労働者に「子育て給付金」を創設するという政府の方針です。一見けっこうなことのようですが…
非正規労働者ら対象の子育て給付創設、少子化対策で政府方針…社会保険から拠出金https://t.co/JL4yHBjfC1#政治
— 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) January 8, 2023
その費用は誰が出すんでしょうか?
実現には、支給額によって年間で数千億円から最大1兆円の安定財源を確保しなければならない。例えば、育休給付金の支給上限額は現在、月約30万円だ。社会保険料は労働者と企業が折半するケースが多いが、引き上げ幅などの詳細は今後詰める。子どものいない人や子育てを終えた人、経済界の理解をどう得るかが焦点となる。
つまりパートのお母さんの子育て費用を、子供のいない家庭や企業も負担する社会保険料から最大1兆円ぐらい出すわけです。サラリーマンはすでに社会保険料を74兆円も取られているので、その1%程度。天引きで文句をいわないので、取りやすいとみたんでしょうか。
政府「子育て世代に支援金を給付します!」
子育て世代「おぉぉぉ!」政府「その原資として社会保険料を値上げします!」
子育て世代「おぉぉぉ??」政府「値上げ対象は子育て世代を含む全世代です!」
子育て世代「おいおいおい!」https://t.co/Y98K4wm5aC— りょーた☕️ | HR Staff | (@rytJan23) January 9, 2023
社会保険料の負担は、現役世代にとっては増税より重い。安易な負担増は逆効果でしかなく、詳細な制度設計次第では強く反対する。
いずれにしても小手先の弥縫策ではなく、社会保険制度全般や税制に及ぶ大改革が必要です。 https://t.co/yE8lKgpRDk
— 音喜多 駿(日本維新の会 政調会長・参議院議員) (@otokita) January 9, 2023
「非正規」となっている点も微妙です。正社員なら育休がとれるが、非正規は取れないので給付金を出すというのですが、お金をもらっても育休はとれない。
キャリアアップを目指し子どもを抱えて非正規1年契約で何年も働いた身からすると、保険料払っていなくても育休とれますというのは絵空事でしかなくて、1年働く予定で採用して1年いなかったら未来はないわけです。産休後すぐ保育園に入れてかつシッター等の支援があるのが重要。https://t.co/DqvsRc0CkA
— 三浦瑠麗 Lully MIURA (@lullymiura) January 9, 2023
財源が社会保険料というのもおかしい。
社会保険料は不確実なリスクをヘッジするものだが、すでに生まれた子供はリスクではない。子育て給付金1兆円の財源を「保険料」の増税でまかなうのは筋違い。
「こども保険」とは何のリスクに対する保険か https://t.co/5TO9dTbFMC
— 池田信夫 (@ikedanob) January 9, 2023
そもそも子育て支援で少子化は止まるんでしょうか。
掲げた3本柱はすべて子どもが誕生した後の「子育て支援策」である。これでは結婚したいのにできないでいる人や、希望する子ども数を持てないでいる人には政策が届かない。
岸田首相「異次元の少子化対策」への強烈な違和感…これでは子どもは生まれないと断言できるワケ https://t.co/58uYNPtJIn
— 現代ビジネス (@gendai_biz) January 7, 2023
「異次元の少子化対策」は、中身も決まらないまま首相がかけ声をかけ、何かやらないといけない役所が、どさくさまぎれに子育て支援のバラマキに目をつけ、財源は消費税だとバッシングを浴びるので、わかりにくい社会保険料にまぎれこませる近道を選んだんじゃないでしょうか。