怖いのはクレーマーではなく「クレームしないで去っていく人」

飲食店の店内でスタッフに文句を言ったり、グルメサイトのレビューで苦言を呈しているクレーマーと呼ばれる人がいます。私も、数年に1度くらい本当にひどいお料理やサービスに遭遇すると、一言言ってしまうことがありますが、普段は何かあっても文句を言うことはありません。

通常は、お店のスタッフに「今日はいかがでしたか?」と聞かれると、味やサービスがイマイチだったとしても「とても美味しかったです。また来ます」と返答します。敢えてクレームするよりも、静かに去って他のお店に行った方がお互い気分を害することが無いと思うからです。

飲食店にとって怖いのは、クレームしてくる人よりも、こんな風に何も言わずに静かに去っていく人です。

何も言ってもらえないと、急に来店しなくなっても、その理由に気が付かず、たまたまだと思ってしまう可能性があるからです。誰からも指摘をされなければ、修正すべき点を修正しないまま次々にお客様を失っていくかもしれません。

正直に問題点を指摘してもらえれば、対応すべきかどうかを検討して、商品サービスの改善につなげることができます。

「的を得たクレーマー」は、お店にとってありがたい存在です。

これは、飲食店に限りません。ビジネスやプライベートの人間関係でもまったく同じです。

例えば、一緒に会食しているメンバーから何か不愉快なことをされれば、その場で怒りをぶつけるのではなく、疎遠になって次から会わなくなるだけです。

ビジネスでも期待通りの結果が提供されなければ、次からは仕事の依頼を別の人にお願いするだけです。

本当に親しい人で信頼関係がある人でなければ、相手にとって耳の痛いことを言ってくれたりはしません。

揚げ足取りのように何でもいちゃもんを付けてくる「リアルなクレーマー」は相手にすべきではありません。でも、真っ当な指摘をしてくれるご意見番のような人は、自分が気が付かないことを教えてくれる貴重な存在。煙たがるのではなく、大切にすべきです。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年1月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。