創価学会と公明党を客観的に論じるというのは難しい作業である。日本最大の宗教団体だし、政界でも主要政党のひとつであるのだから、少し勉強してみようと思っても、適当な客観性の高い本もない。
そもそも、日本では宗教についての知識は軽んじられ過ぎているものだから、もちろん、学校でも教えてくれないし、テレビ・ドラマや映画などでも新興宗教の信者は絶対にといってもいいほど登場しないのである。
「日本の政治「解体新書」:世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱」(小学館新書)では珍しく創価学会・公明党に一章をさいているのだが、知らなかったことが多いと好評だ。
「日本一選挙に強い宗教団体」はどうなるのか…創価学会が直面している「時代の変化」という大問題難しい局面にある公明党を支えられるのか」は、その要約みたいな記事なので読んでもらえればと思うが、この記事では、そこに書いてあることの中からいくつかの点をすこし深掘りしてみよう。
「創価学会の会員数は減っているのか」
間違いなく減っている。ただし、先進国ではどこでも宗教は衰退気味だ。フランスでもキリスト教の退潮はひどいもので、教会の維持が困難になりモスクに身売りしている。
日本ではもともと葬式仏教ですが、最近は僧侶を呼んでの葬式などしない人も増えている。新興宗教も衰退気味でコンサルティングに力を入れて信者数を増やしている真如苑以外は減っているし創価学会も例外でない。
「公明党の票数も減っているのか」
他宗教と同様に創価学会も信者数の高齢化や減少に悩み、集票力にも陰りが見られる。2022年に行われた参院選比例代表の得票数は618万票と、21年の衆院選から100万票近く減らし、改選7議席から6議席に後退した。
「それならお先真っ暗なのか」
それを選挙上手で乗り切っているのと、もうひとつ、定数是正が進んで公明党が強い大都市部の人口が増えると、比例区で失ったものを取り戻せるだろう。そのこともあって、公明党は定数是正を確実に実行することを強く求めた。いま、東京などであたらしい選挙区ができるので、非礼での若干の票数減、議席減は補えそうだ。
「なぜ公明党の候補者は全員当選するのか」
もっと候補者をたくさん立てたら議席は増えるだろうが、創価学会会員の負担が重くなるのでしない。創価学会は会員の満足度とか不満とかを非常に気にする。選挙の応援で仕事や生活に差し障りがあるということにならないように、候補者をむやみに立てない。また、総選挙についても、解散をほかの選挙と投票日が近くないような時期に設定するようにする。
「地方選挙で公明党の候補者はなぜ同じような票数なのか」
公明党の候補者は、自分でどの程度の個人票を組織外で最低集められるか目標を決められる(親戚とか地域とか友人とか)。一方、組織内の票については、厳密な地域割りなどをして、ほかの候補と票を争沿うことを禁じられている。
「どうして組織外でも票を稼げるのか」
公明党の得票数は、信者の数より多い。それでは、その差は浮動票なのかといえば、それは時にはあるが、余り当てにはしていない。むしろ、強さの秘訣は、信者でない人にも投票を頼むテクニックが優れていることだろう。江戸時代以来、檀家制度に甘えて、ほとんど布教活動といえるほどのことをしてこなかった伝統宗教と差が出るのは当然だ。
「票を回せることが政治家や団体の力」
政治の世界で力を持つには、「票を回す」ことができるかどうかは重要だ。自分に投票してもらうだけでなく、他の党派や候補者に投票してくれと頼んで承知してもらえる組織(政党、企業、労組、団体)や政治家は政治力が強い。
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