最近よく起きる回転寿司テロのヤバさを説明する

黒坂 岳央

黒坂岳央です。

昨今、回転寿司で立て続けに炎上事件が起きている。他の客の寿司をつまみ食いしたり、わさびを乗せたり、醤油や湯呑を舐めるといった行為がSNSに上がっており、「もう回転寿司へいけない」「犯人を徹底追及せよ」といった声が聞こえる。

昔からこういう事件は起きていただろうが、誰もがSNSを使うようになったことで可視化されるようになったと感じる。私刑は控えて裁きを下すのはプロにおまかせしたいので、本稿ではあえて顔が写った映像や本人が特定できる言及は避ける。その上でこれらの問題について個人的見解を述べたい。単に「不衛生」という騒ぎでは済まされない。

Nayomiee/iStock

本人は炎上の恐ろしさを分かっていない

バイトテロ、回転寿司テロなどで大きく炎上してしまう人たちは、自らの犯行を動画でSNSにアップすることが多い。捕まった彼らの多くが「まさかこんなに騒ぎになるとは思わなかった」と憔悴した状態になることから、炎上の恐ろしさを知らない人たちだろう。

未成年の犯行の場合、責任の追求先は親になるが、いずれにせよ自爆テロのようなことをするのは悪ふざけからであり、結果の恐ろしさがわかっていたら本人たちもこのようなことをすることはないだろう。

「そんなこと、教えられるまでもなく考えればわかるだろう」と反論があるかもしれないが、世の中には驚くほどいろんな人がいる。「動画を見た人はきっと笑ってくれるはず」と稚拙な考えで、全世界につながったインターネット空間へ自ら動画を出してしまうのは、モラルの欠如というより知識不足だ。加害者がまだ中学生や高校生の年齢と考えると、突拍子もない行動をする人は出てしまう。

参考までに筆者はすでに廃校になった工業高校卒だが、入学式当日に担任の教師を殴って退学になったり、暴走族をやっていることや、万引きを自慢するようなクラスメイトがいるような荒れた環境だった。当時、SNSが今ほど盛んであれば回転寿司テロをするものがいても不思議ではないと想像できる。

だが、こうした人達も炎上リスクについてあらかじめ教育しておけば、少なくとも一定数は問題数を減らせるはずだ。学校現場の教師の負担はすでに限界に達しているため、学校で教育するのは難しく親による教育が必要かもしれない。いずれにせよ知識として知っておけば回避できることは教えておいたほうがいいだろう。

回転寿司で働く人達への大きなダメージ

「もう気持ち悪くて回転寿司にいけない」という声がSNSで溢れているが、問題はそれだけではない。回転寿司企業で働く従業員の雇用が危ぶまれることである。

業界最大手のスシローは社員が1,731名、アルバイト・パートが46,138名(数値はスシローホームページより2021年9月30日時点)を抱えており、来店客の支払いによって雇用が作られている。これで客足が遠いのてしまえば給与、雇用にも影響する。中には失業が原因で生活が困窮したり、大学をやめざるを得ないものもでてしまう可能性もある。さらに株価下落となれば、株主の被るダメージも計り知れない。「回転寿司はテロがあるから投資リスクがある」となれば、将来的な投資家心理にも影響する。

SNSでも「再発防止のために訴訟に踏み切るべきだ」という声はかなり優勢に思える。2013年にいわゆる「バイトテロ」の被害に遭ったそば店は事件が原因で倒産、加害者に1,358万円の損害賠償を求めて提訴している。当時頻発していたバイトテロは高額訴訟の効果からか、一時的に収まっていた。あれから10年が経過し、アルバイトする世代が入れ替わったことで再びテロが発生している状況と見ることができるだろう。

これまでの回転寿司は「回っている他の寿司には手を付けない」というモラルが守られることを前提のビジネスモデルであった。しかし、このような問題が頻繁に起きてしまえば、既存のビジネスモデルを見直す企業も出てきて他の企業も追従する状況は起こり得る。そうなれば企業の経営コストも高くなったり、利用客側の利便性が損なわれる可能性もある。

日本の回転寿司を守ることができるのは利用客側の節度である。若者を持つ親は我が子をテロリストにしないためにも、回転寿司に限らずしっかりとSNS教育をした方が良いだろう。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。