規制改革の本丸、規制改革推進会議とは
前回の記事で解説した「国家戦略特区」は自治体単位でルールを緩和する仕組みですが、他にも、企業単位、プロジェクト単位で実現する仕組みがあります。
新たなビジネスモデルの実施が、現行規制との関係で困難である場合に、実証により得られた情報やデータを用いて規制の見直しに繋げていく「規制のサンドボックス制度」、規制の解釈・適用の有無を確認する「グレーゾーン解消制度」、企業単位で、規制の特例措置の適用を認める「新事業特例制度」などです。
これらの規制改革ツールは、一部の自治体や企業単位で規制の特例を設ける(一定の条件の下で規制を緩和する)ものですが、旧来の制度を廃止して新しい制度を全国一律に実現する強力なツールもあります。
それが「規制改革推進会議」による規制改革です。今回は、この強力な規制改革ツールである「規制改革推進会議」を徹底解説していきます。
規制改革推進会議の組織構造
規制改革推進会議で取り扱う事項は多岐にわたります。そのため、大まかなテーマごとにワーキンググループ(WG)が設置されています。WGで個別テーマを議論し、規制改革推進会議はWGの進捗確認や重要課題について取り扱うという役割分担になっています。
※2023年1月現在のWG一覧
スタートアップ・イノベーション WG
人への投資 WG
医療・介護・感染症対策WG
地域産業活性化 WG
共通課題対策 WG
規制改革推進会議のスケジュール
一年間の大まかな規制改革推進会議の流れを確認します。
2021年6月から2022年6月までのスケジュールは以下の通りです。
2021年8月23日 規制改革推進会議の進め方・当面の課題・WGの構成員について議論
2021年9月~12月 各WGで個別テーマについて有識者を呼んで議論
2021年12月22日 当面の規制改革の実施事項を公表
2022年1月~4月 各WGで個別テーマについて有識者を呼んで議論
2022年2月17日 過去の規制改革実施計画のフォローアップの進め方、個別テーマの一部について考え方を議決
2022年5月27日 規制改革推進に関する答申を公表
2022年6月7日 規制改革実施計画を閣議決定
おおむね、8月下旬にキックオフ、12月に中間とりまとめ、5月に最終とりまとめを規制改革推進会議で行って、これを踏まえて規制改革実施計画を政府として閣議決定します。並行して、8月~4月まで、各WGで具体の議論を行うのが一年間の流れです。
(執筆:西川貴清 監修:千正康裕)
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編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2023年2月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。