インプットもアウトプットもしない人の恐ろしい末路

黒坂岳央です。

「勉強しないといけないのは分かっているけど忙しくて…」「仕事が忙しくて他に何もする暇がない!」という人はかなり多い。あらゆる調査データが「日本人は勉強しない」という事実を浮かび上がらせている。社会人だけではない。大学生でも死にものぐるいで勉強する人はあまり見ない。多くの日本人は大学入試の18歳に知力のピークを迎え、その後はほとんど知識アップデートすることがない状態となっていないだろうか?

インプット、そしてアウトプットもしない人はここで意識を変える必要がある。長年の無勉強期間が続くとどうなるかを予測したい。

pablohart/iStock

時代も常識も変化している

当たり前だが、時代も常識もドンドン変化している。インプットもアウトプットもしなければ、昔の感覚のまま年月が経過してズレることになる。

少し前まで「酒は百薬の長」とか「ウサギ跳びで足腰を鍛える」といった健康の常識があったが、科学の進展によりこれらの常識は否定された。また、今から15年、20年くらい前、筆者の周囲の中高年は「英語はできる人はとっくにいるので、今から身につけてもムダになる」と主張する人は多かった。

しかし、現実はその逆の状況になっている。また、政治・経済感覚についても「日本はアジアで唯一の先進国であり、テクノロジーに優れ他国は羨望の眼差しで憧れている」という感覚を持つ年代もいるが、実態は必ずしもそうではないだろう。その逆に悲観的すぎる観測者もおり、冷静かつ正確な理解者は相対的に多いとはいえない。お断りしておくと、筆者は日本の未来に希望を失っていない。だが、一昔前と比べて我が国の世界の中でのプレゼンスにおける変化があったと認識している。

時代も常識も変化しており、その速度は加速していく。過去10年で起きた変化の数倍の速さで次の10年は迎えられることになる。つまり、時代の変化率だけ高まる一方で、自分が変化できなければズレる幅もそれだけ大きくなることを意味する。たとえば昨今、「おじさん構文」が嘲笑の的になっているが、その笑っている本人もインプットをしなければ、未来で年下から嘲笑される側に回る。これはいつの時代でも起きているサイクルである。

仕事で変化できない恐ろしさ

変化しなければズレることが致命的になるのは「仕事」である。なぜなら仕事でズレるということは、「要らない人」になることを意味するからだ。市場は本人の都合を無視して、残酷なまでに常に変化し続ける。ニーズの満たない仕事しかできなければ、誰からも求められなくなる。

かつては服の仕立て屋の職業があったが、ミシンが開発されて仕事は激減した。当初、怒りでミシン工場に火を放ったものもいたが、結局人類はミシンを受け入れた。残されたのは活用の場を失った服の仕立て技術である。現代社会でこの技術を活用することは難しい。人類は歴史上、不可逆的にテクノロジーを受け入れてきた。それ故にこういうことが今後もドンドン起きる。

昨今、話題のChatGPTが話題でAIは単純労働を奪うポテンシャルを秘めている。専門家によっては「AIはあまりにも過大評価されすぎている」という意見がある。たしかに直ちにホワイトカラーの大量解雇の原因にはならないかもしれない。よしんばそうなった場合でも現代は世界的に人口増加の鈍化トレンドであるため、うまく活用すれば人手不足の救いの神になるかもしれない。

だが仮に、今多くの人が同ツールに向けている過剰と言われる評価がテクノロジーの進展が追いつくことで実現したなら、どうなるだろうか? たとえば情報のテキスト検索ニーズが減少すれば、関連する業界やそこで働く人達は打撃を受けることになる。

具体的に言えば、ニュースをまとめたものや、お役立ち情報記事のメディア会社とライターである。もはや検索してあちこち記事を探さなくても、ChatGPTが端的に答えてくれるようになるからだ。そうなれば高度な専門知識がない書き手は不要になってしまう。

そうならないためにも、常にインプットをし続け自分の仕事を守り続ける必要がある。過去10年の働き方が、次の10年先に通用する保証はどこにもない。

インプットしなければアウトプットも腐る

さらにインプットをしなければ、アウトプットの質も腐る。

たとえば講師業について言えば、中高年教師の中にはもう何十年も前の試験内容を教えている人がいる。しかし資格試験も生き物であり内容が変わったり、難易度も変わる。昔の知識のままアップデートしなければ、間違ったことを教える、という恐ろしい事が起きてしまうだろう。

会社員の場合でも、昔は手作業だった仕事がDXでシステム導入され変化と対応を迫られるということがある。しかし、それに対応できなければお荷物化は避けられない。実際、筆者が過去に会社員をしていた頃、大改革で大幅なシステム変更があり、それにより何人もの古株が変化に対応できず退職していった。

インプットをしなければアウトプットの質も悪くなる。世の中はとかくアウトプットが大事だと言われているが、せっかく時間と労力をかけてアウトプットしても、その質が伴わなければ何の意味もない。だからインプット、アウトプットは両方大事なのである。

筆者がやっているのは、日々、大量にインプットをしてその中で価値提供できたり自分なりの意見を言えるものをピックアップするスタイルを取っている。そうすることで必然的に時代に取り残されることもなくなる。書籍は週に3冊は買って読むようにしているし、有料メルマガやnoteで専門家の知識インプットもしている。すべては時代に取り残される恐ろしさを理解しているからだ。

昔は周囲が優しくフォローしてくれた時代があったが、現代社会は誰もが忙しくそんなことをしてくれる余裕もなかなかない。自分の身は自分で守るしかないのだ。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。