「上野千鶴子氏の結婚」は批判されるべきことなのか?

社会学者の上野千鶴子氏が、実は結婚していたという報道が、ネット上で大きな反発を生んでいるようです。

というのも、上野千鶴子氏は、これまで日本の結婚制度を否定する論陣を張って、意識高い系の女性に大きな影響を与えてきた過去があるからです。

結婚するなと主張していたにもかかわらず、自分自身はちゃっかり結婚していた。

「おひとりさま」を声高に訴えてきたのに、自分は「おふたりさま」の道を選んでいたという「ハシゴはずし」が「信者」たちにはどうにも許せないようです。

しかし、上野千鶴子氏も社会学者である前に、一人の女性です。年齢を重ね、人生観が変わり、一緒にいたい人が現れれば、心変わりすることもあると思います。

プライベートの自由を、知らない人たちまでから非難され、後ろ指を刺されるのは複雑な心境ではないでしょうか。

人間は「変節する」動物です。過去と現在を無理に一致させ、自分を偽る必要はありません。

今までの主張が間違っていたと思うのであれば、正直に修正した意見を発表すれば良いだけです。

問題の本質は「結婚したこと」ではありません。結婚についての自らの主張を修正することなく、結婚してしまったことです。

批判すべきは、言っていることとやっていることの、「言行不一致」にあるわけです。

ネット上の投稿を見ていると、結婚に関してだけではなく、一緒に貧しくなろうと呼びかけながら、自分は高級マンションに住んでいたりと、言行に様々なズレがある方のようです。

そんな信用できない人の語るライフスタイルを鵜呑みに真似して、後から事実を知って糾弾するのはやめた方が良いと思います。自分が人を見る目が無い情弱だと告白してるいるのと同じだからです。

著名な社会学者の意見を参考にするのは自由です。でも、最後に決めるのは自分です。自分が結婚しなかった責任を上野氏のせいにするのは、筋違いです。

人の幸せに嫉妬する前に、自分の人生は自分の責任で決める覚悟を持ちましょう。厳しいようですが、人の批判をいくらしても、自分の人生は変わりません。

sharaku1216/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年2月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。