G20欠席は「林外務大臣の無駄遣いだ!」

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

岸田総理との直接対決、無事に終えることができました。ご視聴いただいた皆さまに感謝を申し上げます。

時間の関係で大きく2点になりまして、「G20への外務大臣欠席対応」と「異次元の少子化対策」について、特に後者をガッツリ議論させていただきました。

答弁は入りませんが、こちらの質問原稿とパネルは末尾にすべて掲載します。

動画はこちらから。

今回は非常に報道量も多く、その点も大いに感謝です。

【G20外相会談関係】

日テレNEWS
林外相G20欠席 野党側が批判「外務大臣の無駄遣い」

https://news.ntv.co.jp/category/politics/acdd82d480224889a74555d0c9e31ce8
フジテレビ
林外相G20欠席 野党が批判 国会優先も答弁53秒

https://www.fnn.jp/articles/-/493848?utm_source=headlines.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=relatedLink
共同通信
G20外相欠席は「総合判断」 首相、参院予算委で説明

https://nordot.app/1003857807292219392
https://news.yahoo.co.jp/articles/a15e0bdaee3306376f2c25a8dac42db2ff1c0709
読売新聞
林外相のG20欠席巡り、岸田首相「国会対応を勘案」…参院予算委

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230302-OYT1T50142/
産経新聞
首相「出席追求したが…」 林氏G20派遣断念

https://www.sankei.com/article/20230302-BZAYPGUAKBN33NQGSHHKDWCRAY/
テレ朝NEWS
林外務大臣のG20欠席 自民党内からも疑問の声

https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000289836.html
https://news.yahoo.co.jp/articles/9e4939a76d4b034202cd6515081d11196c5525b0
日刊スポーツ
「林大臣のむだ遣いだ」予算案審議優先し外相会合を異例欠席の政府判断に批判 参院予算委

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202303020000374.html

【少子化対策関係】

TBSNEWSDIG
児童手当の所得制限めぐり岸田総理 大事なのは「子育て当事者の声」

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/356831?display=1
テレ朝NEWS
日本型雇用制度は少子化の原因か…国会で論戦に

https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000289864.html
時事通信
岸田首相、物価高に機動的対応 コロナ検証、明言避ける―参院予算委

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023030200122&g=pol
毎日新聞
「3月は正念場」 首相、物価高に機動的対応を強調 参院予算委

https://mainichi.jp/articles/20230302/k00/00m/020/078000c

昨晩は質問の構成を考えながらあれこれ原稿をいじくっていたら終電を逃して夜なべになり、明け方にシャワーだけしに帰宅。

予算委員会の前日はだいたい毎回このパターンで、ヘトヘトであります!もっと事前準備をしておけよと自分に毎回突っ込んでいるのですが、リアルタイムな情報を質疑に盛り込むためには直前までの推敲も欠かせない…。

というわけで力尽きましたので、本日は少し早めに帰らせていただき、明日からまた論戦が深められるよう努力を重ねて参ります。

それでは、また明日。

林芳正外務大臣 NHKより

【以下、質問原稿の全文(教育の無償化部分は実際には時間切れ)】

日本維新の会、音喜多駿です。本題に入る前に、たいへん僭越で申し訳ないのですが、総理に一つ苦言を呈させていただければと思います。

それは昨日と今日、林外務大臣がこの場に座っておられることです。G20外相会談に出席をされていないことです。安全保障環境が激変する中、特に日本は本年、G7の議長国です。にもかかわらず、外務大臣が国内日程を優先して欠席することが、国際社会にどのように受け止められてしまうでしょうか。

国会運営に忖度して政府と与党だけで欠席を決めてしまうのではなく、出席する方向で国会と協議するべきだったのではないでしょうか。総理はなぜ国益を損なうような判断を、政府与党内でされてしまったのか、そこをまず教えてください。
(答弁)

出席をされているので、林外務大臣にもお聞きします。先般の国連総会でのスピーチは素晴らしいものでした。林外務大臣が出席するのとしないのでは、日本の発信力・影響力に大きな差が出ると思います。率直に言って、G20には出席したい、自分自身が出席するべきだと思っていたのではないですか。大臣の本音を教えてください。
(答弁)

大臣は言葉を選ばれていますが、昨日この場所に座っていて答弁は何回ありました?一回ですよね。たったの53秒。今後、同様に極めて重要な国際会議と国会日程が重複した場合、外務大臣として外交を優先する姿勢をはっきりと示していただきたい、示すべきだと考えますが、見解を伺います。
(答弁)

総理にも伺います。ぜひ我々は、総理に「外交の岸田」らしく、国益を優先するご判断をしていただきたいんです。そもそも、国際会議のような重要な公務と国会日程が重なったときに、副大臣に答弁をさせることが与野党の賛成多数で可決された「国会審議活性化法」の理念だったのではないでしょうか。今回のG20では、与党の自民党も「国会優先」として大臣を国会に縛り付ける意向を示したと聞いていますが、与野党ともに考え方を変えていく必要があります。

少なくとも我々は、総理や外務大臣の、国益となる外交活動を全力で支援します。国会審議は尊重しながらも、今後は外交を最優先させてもらうんだと、ぜひその総理の決意をお聞かせください。
(答弁)

それでは次に、今国会と予算案における最大のテーマの一つである、少子化対策について総理と議論させていただきたいと思います。

ついに最新の調査で、出生数が80万人を切ることが確実という報道がありました。まずその少子化対策のほんの入口として議論が始まった児童手当の所得制限撤廃について、政府与党は未だに慎重な姿勢を示されています。

その理由はなんなのかと疑問に思っていたところ、先ごろ、所得制限撤廃は「反対多数」であるという世論調査が発表されました。パネル資料①をご覧ください。

確かに児童手当に関するいくつかの世論調査では、所得制限撤廃への反対意見が半数を超えているものがあります。ただ、よくその中身を分析してみると、多くの調査で支給対象となる20代から30代までは賛成が明確に上回り、それ以上の世代では反対が多数となっていくという結果でした。しかしこの調査を受けて、与党の政治家から「所得制限撤廃に賛成の立場だったが、適宜修正する」といった旨の発言もなされました。

総理、私はまさにこうした「世論」の誤った受け止め方、一部の「世論」に迎合する政策決定のあり方が、今日の深刻な少子化を招いた一因であると感じています。全世代に聞けば反対が上回るのは想定されうることで、人口構成を考えれば、若い世代・子育て世代はいつまで経っても不利な状況から抜け出せません。

いわばシルバー民主主義とも呼ばれる状態や世論に流され、世代間格差を放置して、少子化対策を怠ってきたのがこれまでの政府のやり方であり、それは今後抜本的に改めるべきだと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
(答弁)

さて、本論に入ります。現状で総理は「異次元の少子化対策」として経済的支援や保育サービスの拡充、働き方改革などの3本柱を示されていますが、どれも目新しいものではなく、こうした現在の延長線上には、解決策はありません。少子化対策はもっと抜本的に、大胆に、包括的に行う必要があります。

私たちには対案があります。パネル資料2をご覧ください。

これは総理の3本柱に対して、わたしたちから①税制改革、②社会保障制度改革、③労働市場改革、④婚姻制度の改革、そして⑤教育改革、教育の無償化という5つの政策案、そしてそれを実現するために統治機構改革があるというコンセプト・政策パッケージをお示ししたものです。中でも今日は、主にこの5つの政策について、時間の限り総理に質問・提案をさせていただきたいと思います。

まず、国の根幹をなす税制についてです。今国会では「N分N乗方式」の議論も始まりました。フランスなどで導入されている税制ですが、そのままでは様々な課題が多いことも承知しています。しかし大事なのは制度の欠点を探してやらない理由を述べることではなく、N分N乗方式のような「子供が増えれば増えるほど税負担が軽くなる」というコンセプトの税制を検討・導入することではないでしょうか。

実はこれは、非常に大きな転換となる、ある面では大変難しいことだとも思います。子どもを持って欲しいと、税制で明確なメッセージを出すことは、多様な生き方を認めようという考え方と衝突すると捉える方もいるでしょう。私にも正直、迷いはあります。

しかし、未曾有の国家危機に直面し、異次元の少子化対策に踏み出すなら、困難や摩擦が生じるとしても、総理や政治家が言葉を尽くし、多様な生き方を否定するものではないと説明した上で、新たな税制の検討に踏み出すべきだと考えます。

総理、これはまさに政治決断です。各論の話を聞きたいのではありません。1-②N分N乗という個別論に限らず、「子どもが増えると負担が軽くなる税制」を積極的に検討する考えはないですか、総理の見解を伺います。
(答弁)

税は社会保障とセットで改革する必要があります。少子化対策のために税制と社会保障の2つの政策を重ねることは非効率的であるという指摘はあるものの、相互補完ができる場合もあります。

例えばN分N乗方式では低所得者層に支援の効果が薄い等の課題が示されていますが、0歳からの最低所得補償制度、「給付付き税額控除」を組み合わせることで低所得者には給付を行い、出産や子育てにインセンティブを与えつつ、安心して子どもを産み育てるセーフティネットとしても機能させることが可能です。

ベーシックインカムという政策も一手ではありますが、本日はすでに先例がある給付付き税額控除を提案します。パネル資料3を御覧ください。

グラフはアメリカの事例ですが、負の所得税とも言われるこの「給付付き税額控除」については、行政コストの節約などの他に、制度設計次第では子ども重視の税額控除・あるいは給付ができるというメリットがあります。総理、1-③この諸外国ではすでに行われている「給付付き税額控除」の導入を真剣に検討してはどうでしょうか。何がハードルになると考えますか、伺います。
(答弁)

この議論、結局課題は執行が難しいということに行き着くわけですが、だからこそ異次元の少子化対策を契機として、必要な制度改革を進めていただきたいんです。具体的には、この制度導入の核を握るのはマイナンバーです。すべての銀行口座に紐づけること等を通じて収入と資産を捕捉すれば、迅速で合理的な給付や控除を行う「給付付き税額控除」は実現可能です。

ところが政府は、中途半端にお金をバラまいてみたり、健康保険証の件でも例外を設けたり、ずっとマイナンバーの徹底活用に対して腰が引けています。総理、マイナンバーは少子化対策の鍵も握るという認識の元、カード取得や口座への紐づけの義務化も含めた徹底活用を進める政治決断はできないでしょうか、伺います。
(答弁)

3つ目の提案は労働市場改革、雇用の流動化です。これは少子化対策から一見遠いように見えて、実は決定的に重要なポイントです。なぜ主に若い女性が、結婚や妊娠・出産に消極的になってしまうのか。そこには雇用制度の問題が確実に存在します。そこでまず総理の認識を伺いたいのですが、1-④終身雇用や年功序列・年功賃金といった、いわゆる日本型の雇用システムは男性に有利だと思いますか。女性に有利だと思いますか。それとも、性別に関係なく中立だと認識されていますか。総理が率直にどのように捉えているかをまず伺います。
(答弁)

総理の回答は正面からお答えいただけていない気もしますが、妊娠・出産というライフステージがあり、流動性の高い女性には明確に不利なんです。実際、私の事務所にいる女性スタッフも以前、妊娠・出産で昇給・昇進のタイミングを逃して、年功が積めずに待遇が上がらず、前職を退職しています。

別の角度からも伺いますが、1-⑤総理は、育児休業者も含めた「リスキリング」を打ち出されて、議論を呼びました。これは、終身雇用・年功序列の慣行の中で、出産や育児で年功が積めない人は、その年功が足りない部分をリスキリングや資格で補って待遇をあげよう、という発想から出された苦肉の策でしょう。逆説的に、日本型雇用システムがもはや限界を迎えていることを示唆しているのではないかと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
(答弁)

日本の雇用慣行が現代社会に対応しきれなくなっているという点では一致したと思います。ならばその対策の本丸は、ずばり雇用の流動化です。人材の入れ替わりを促す改革です。妊娠・出産・育児を控える流動性が高い人材が不利にならない環境をつくり、硬直化した終身雇用や年功賃金を打破する。そのためには、セーフティネットの完備などを前提に、金銭解雇も可能とする新たな雇用ルールの策定が必要ではないでしょうか。

1-⑥こうした雇用流動化施策、柔軟な労働市場こそが少子化対策にも繋がるという認識を総理はお持ちかどうか、雇用の流動化に踏み出す考えはないか、総理の見解をお伺いいたします。
(答弁)

このいわゆる解雇規制の緩和については、話題に出すとあらゆる方向から批判をされまして、総理や政府の答弁もずっと消極的です。

現在の解雇規制は、昭和の高度経済成長期において終身雇用を前提に形成されたルールであり、そのシステムは女性が結婚を機に家庭に入ることが前提にされています。共働きを前提とした、雇用の流動化による男女格差の解消が必要であることをあらためて強調させていただきます。

4つ目の提案は社会制度、婚姻制度の改革です。未婚化も少子化の一因と指摘されており、生涯未婚率は上昇する一方となっています。

未婚率上昇や晩婚化には、名字・氏の変更、家同士の交流など、婚姻制度にかかるルールや慣習の存在も理由の一つとしてあげられます。その解決策として、私たちは日本版PACS、パートナーシップ制度の法制化を提案します。パネル資料4を御覧ください。

様々な結婚へのハードルは、カトリック文化が根付いており、家族や社会のつながりも重視されるフランスでもかつて苦しんだ歴史があります。しかしフランスでは、N分N乗税制の導入など経済支援を矢継ぎ早に行った他、結婚ではない新たなパートナーシップ制度である「PACS」が機能したという指摘があります。

今国会では首相の答弁や秘書官の問題発言により、おりしも同性婚などの婚姻制度が大きな争点になっています。我々も同性婚は容認するべきとの立場です。しかしながら、婚姻という多くの当事者がいる制度の変革には慎重な意見も多く、互いに主張をぶつけあっても、物事がなかなか進展していかないことも事実です。そこでパネル資料5番は、我が党がその一歩前進案としてもとりまとめた、日本版パクス、パートナーシップ法案の概要です。

異性間でも使える制度とすることで、まさにいま課題となっている結婚へのハードルを下げる。また、進展しない同性婚の課題にも一石を投じて、同性同士のパートナー関係に一定の法的効力を付与する。次のパネル資料6番に一覧をまとめましたが、各自治体が行っているパートナーシップ条例では残念ながら法的効力がないものの、法律を作れば今の婚姻制度と同じとはいかなくても、財産分与などについて一定の法的効力を発揮させることができます。

1-⑨総理、同性婚や選択的夫婦別姓は遅々として政府与党の中で検討が進みませんが、その議論を具体的に一歩前に進め、少子化対策にも寄与する現実的な解決策となるこの日本版パクス、パートナーシップ制度の法制化、まずはこの検討から始める考えはないでしょうか、伺います。
(答弁)

前向きな答弁はいただけませんでしたが、日本版PACSは結婚へのハードルを下げるだけでなく、総理が目指す子育て支援の拡充にもつながると考えます。同性婚や同性パートナーシップを認めると少子化が進むという主張がありますが、私はまったくの真逆だと思います。

というのも諸外国や、あるいは国内でも自治体によって同性カップルへの里親委託が進められています。これは、子育ての担い手が増える施策であり、児童虐待防止などの観点からも望ましいことです。

そこでこの機会に総理の認識を確認したいのですが、1-⑩いくつかの自治体がすでに行っているような、同性パートナーシップや同性カップルへの里親委託は、少子化の要因となると考えるのか、それとも子育ての担い手が増える、すなわち少子化対策や子育て支援になると認識しているのか、どちらでしょうか、総理、教えてください。
(答弁)

自治体の同性パートナーシップ制度の下、子育ての担い手を増やすことを政府も歓迎されているわけですから、それをさらに促進させる一手として、日本版PACSのような制度を検討していただきたいと思います。

異次元の少子化対策のパッケージの最後として、教育の無償化を提案します。結婚や出産のハードルを乗り越えたとしても、「もう一人」を産み育てていただけるかどうかは、経済的負担が大きくその決断を左右することは間違いありません。そのためには税制と合わせて、子育てにおいてもっとも費用がかかる教育の無償化、これを大胆に推し進める必要があります。最後のパネル資料7を御覧ください。

私たち日本維新の会は次世代への徹底投資を掲げ、いよいよ来期は地方政府の政権運営をあずかる大阪において、「8つの無償化プラス1」として、まだ不完全ではありますが、所得制限のない形で大学院まで教育を無償で受けられる、塾代の支援も受けられる先進的な政策の実現に目処をつけました。これにぜひ国も追いついていただきたく、衆議院でもたくさんの質疑や提案を行ってきましたが、今日はあえて憲法改正の観点から総理にお伺いします。

完全な教育の無償化を速やかに実現するためには、教育の機会平等を、普遍の権利として憲法に明記することも必要ではないか、というのが我々のかねてからの主張です。この点、1-⑪残念ながら一向に進まない憲法改正議論について、まずは国民の賛同の得られやすい教育無償化から進めていくことも一案ではないかと考えますが、任期中に憲法改正に挑むと宣言されている自民党総裁としての、岸田総理大臣の見解を伺います。
(答弁)

時間がまいりました。縷縷お話してきましたが、少子化対策は大胆に、抜本的に、包括的に断行する必要があります。本日の提案を中心に、引き続き総理や政府与党と真正面から議論をしてまいりますので、宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2023年3月2日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。