日本が服役中の受刑兵の移送を検討: 日米を揺るがすアルコニス問題

日米両政府が日本で服役中のリッジ・アルコニス受刑者を米国へ移送することの可否を協議していることが共同通信の報道で明らかになりました。

アゴラでは以前からアルコニス氏の処遇について記事を出してきました。しかし、日本の主要メディアの直近の報道でこの問題について触れるのは共同が初めてです。

この問題が厄介なのは日米間で大きな意見の食い違いがあることです。

日本の裁判所の判決として、アルコニス氏が居眠り運転をしたことで日本人3名を死傷させる事故を起こしたと結論づけました。それゆえ、アルコニス氏は禁錮3年の刑を言い渡され、現在日本の刑務所で収監されています。

一方、米国内からはアルコニス氏が居眠りではなく、高山病を発症したことで事故を引き起こしてしまったという意見が根強くあります。そのため、米国政治家や大手メディアはアルコニス氏の判決が不当であると主張しています。

仮に米国内の意見に沿う方たちで、アルコニス氏が移送されることになれば、米国が日本の司法に介入したという批判は免れません。

米シンクタンクによると、米軍が在日米軍基地を使用できなければ台湾を中国の侵攻から守れないとしています。

今後、アルコニス問題が国際問題に発展し、米軍の日本駐留の根拠となっている日米安保や地位協定が批判を浴びるようになれば、日米が喫緊の脅威に対処しづらい状況が生じかねません。

“在日米軍基地の使用なしには、米軍の戦闘機・攻撃機は効果的に戦争に参加できない”

日本政府は米国からの不用意な圧力に屈せず、日米双方の長期的な利益を考慮しながらアルコニス問題の解決を目指して欲しいです。

lucky-photographer Mari05/iStock