シリコンバレーバンクの破綻は19世紀の銀行破綻だ。
預金取り付け騒ぎ。古典中の古典、どんな教科書にも出てくる銀行破綻の典型例だ。
そして、そのきっかけはインフレによる中央銀行の利上げによる運用資産の時価の下落。
さらに、そして、国債で運用せざるを得なかったのは、シリコンバレーにイクイティ資金が集まり過ぎて、起業家および彼らのベンチャー企業がカネ余りで預金を預け、それが大量に膨らんだ。
さらに、さらに、そして、彼らが預金をしたのは、もはやまともな投資対象がなくなったからで、シリコンバレーバンクが融資先がなくなったのも、まともな新規ベンチャーがなくなり、また既存のベンチャーは投資することもないのにカネが集まり過ぎて(集めすぎて)やることがなく、金融投資(ベンチャーがベンチャーに投資していた、要はぐるぐるまわっていただけ)も、もはやピークアウトし、国債や預金しかなかった。
シリコンバレーバンクも、預金は短期、運用を長期国債では、タームの不一致でリスクがあることはわかっていたが、もともとのブリッジローンなどの運用の利回りが高すぎて、長期国債の利回りでも足りなかったのだから、短期国債で運用しても、要は損失が拡大する一方だった。
シグニチャーバンクは、もっとあからさまにバブルだった。暗号資産自体がバブルだからだ。
このような動きは、世界中で、今後一つずつ起こり続けるだろう。
つまり、極端なリスクテイクではなく、壮大なる、金融市場全体、経済全体、世界中が大きなバブルに包まれており、誰も極端にリスクも取らず、悪いこともしておらず、銀行の規制をリーマンショック後、強化していたとしても、防ぎようがない、必然的なバブル崩壊なのだ。
これがゆっくり崩壊し続けるだろう。
だから、短期のシステミックリスクはない。暴落もない。パニックもない。
しかし、バブルは崩壊していくのだ。
だから、もう打つ手はないのだ。
近代資本主義は、まだ終わらないだろうが、そのカリカチュアを先に見せてくれている、と考えればよいだろう。
インフレだったとしても、現金の方がましで、逃げる先は現金だけであり、その前にすべてのリスクテイクを手仕舞いする動きがゆっくり起きるだろう。
普通の状態、バブルのない状態に戻るだけのことだ。
21世紀の資産家、投資家、経済、社会には耐えられない、というだけのことだ。