インプットをやめるとアウトプットはゆるやかに死ぬ

黒坂岳央です。

昨今、どこでも「アウトプットが大事」という意見を見る。世の中、スキルアップのためにインプットばかりで、せっかく得た知識やスキルを活用しない「勉強しっぱなし」という人が多いため、このような意見が出るのだろう。

しかし、逆にアウトプット「だけ」でインプットをサボると、アウトプットはゆるやかに死んでしまう。しかもそれは極めて緩慢で自分では気づきにくいという厄介な性質を持っている。

mapo/iStock

インプットをサボるとセンス残高は枯渇する

デザイナーをされているという人物の投稿が大きな話題を呼んでいる。

「センス残高はいつか枯渇する」「アウトプットがワンパターン」といったクリエイターにとっては恐ろしくなるキーワードが踊り並んでいるのだ。デザインのアウトプットが毎回ワンパターンでしか作れなくなったり、作品がテンプレ化して思考が介在しないものばかりというのはクリエイターにとっては命取りである。消費者は鋭く見抜き、飽きて立ち去ってしまうからだ。

ゲーム業界では特にここは大きな問題で、一世を風靡するような怪作が世間を賑わせても続編が前作の焼き直しばかりだとユーザーは飽きてしまい、売れなくなる。喜劇王チャップリンは「あなたの最高傑作は?」と尋ねられた時に、「The next one(次の作品)」と答えた逸話があるが、常にユーザーの期待値を超え続けなければいけない厳しさが仕事にはある。

社会に出るとインプットをしなくなる

これは日常生活を送っていてよく分かる。仕事とは基本的にインプットしたことをアウトプットする行為だ。講演家は自分の知識をトークで発信するし、営業マンは営業ノウハウや商品知識をお客様に売る仕事である。本質的には人との何気ない日常会話も同じだ。

問題は多くの場合、大人になった後はインプットをサボって知識などのインプットした内容が数十年そのままとなり、カビの生えた化石のような状態になっていることである。高齢者と話すと日本の高度経済成長期の感覚のままで経済論を話したり、会う度に同じ話しかしない人はかなり多い。日常会話ならまだいいが、仕事でこうなると危険である。技術も知識もアップデートしていくのが普通なのに、自分の知識技術がそのままだと変化に置いていかれてしまう。

筆者は会社員をやりながら週末起業を経て独立したのだが、起業を決意してからは毎日膨大に起業にまつわる知識、情報をインプットをして独立した。あの時期のインプットがなければ、絶対に今の立場になっていない。人生を変えるにはまずはインプットをし、そしてアウトプットでインプットしたことを実現するプロセスが必要だ。インプットなき、人生の変革などあり得ない。

インプットの時間を確保する重要性

経営者やフリーランスの立場だと、特にインプットの時間は意識的に確保する必要がある。独立する立場だと基本的に空き時間はアウトプットに使うことで売上につながるため、多くの人は「売上を作るためにインプットよりアウトプットだ」という思考になりがちだ。しかし、これが年単位で続くとアウトプットが緩やかに品質低下していくため、売上に影響してしまう。だから意識的にインプットの時間を確保することは極めて重要だ。このバランス感覚が求められるだろう。

筆者がやっていることを紹介すると、最近は洋書や海外YouTube動画を一日2時間くらい学ぶようにしている。日本のコンテンツだと、多くの人の手垢が付きまくっていることで差別化が難しいことと、ITやビジネスなど一部分野では海外の方が圧倒的に進んでいるので学ぶ優位性があることがその理由である。

ハッキリ言って自分も英語より日本語で学ぶ方が楽なのは間違いないが、それでも労力をかけてでも海外コンテンツからインプットを続ける価値は大きいと思っている。最近読んだ日本語になっていない洋書からも多くの学びを得て、自分のアウトプットに反映するようにしたばかりだ。理想としては、ガラリと一変させるのではなく少しずつ変化を取り入れる。来店する度、毎回どこかしら店内やメニューに変化を感じるお店のようなイメージである。

インプットをやめると人は緩慢に時代に置いていかれる。仕事でそうなることはビジネスマンの緩やかな死と同義である。学び続けることは、特別なことではなく日々の日常のような感覚にするのが理想だろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。