高市早苗氏の問題とは何なのだろう?:ガラスの天井を破れる器なのか

痛快!、これが私のWBCのここまでの結果に対する気持ちです。看板選手がどうしても目立ちますが、普段は一流なのに看板の陰に隠れてしまった名選手たちも我も我もと頑張る流れは日本が一番得意とするお祭り型の上昇ムードです。選手たちはいよいよフロリダ入りしましたが、今度は本拠地とは違う雰囲気が強まります。ぐっと気を引き締めて王者への道にまい進してもらいたいですね。

では今週のつぶやきをお送りします。

これで落ち着くのか、まだ先はあるのか激震の金融市場

先週、この項を書いている最中にSVBが破綻しました。その後他行にも波及し、今度はファーストリパブリックバンクにアメリカ主要銀行11行が4兆円を投入が決まるも株価は金曜日には希薄化と不満足感からか33%安です。その間、欧州ではクレディスイスがまるでパンドラの箱を開けてしまったがごとく急激な危機となり、スイス国立銀行の支援を受けることになります。木曜日の株価は大きくリバウンドしたものの支援は不十分とされ、金曜日は激しい乱高下を展開しています。どうやらスイスのUBSが買収交渉するようですので2週続けて週末が山場になります。

市場を見ている限り、流れは極めて悪い、としか言いようがありません。専門家が「市場から逃げろ」と発しているところもあるし、4月にもう一段の衝撃が来るとみているところもあります。私はそこまで予見できませんが、市場参加者がひどく疑心暗鬼に陥っていることは確実です。21-22日にFOMCがありますが現時点での予想は0.25%引き上げです。それは綱引きの中でパウエル氏が求める折衷案だと理解しますが、パウエル氏は大事なことを見落としている気がします。市場機能は急変には耐えられなかったという点です。

もう一つ気になるのは原油価格をはじめ、資源価格の急落です。本日NY市場で66.34㌦まで下がった原油価格に対して「エネルギー価格が高騰する昨今に於いて…」などといったらいつの時代の話をしているのだと言われるでしょう。それぐらい世の中のセットトーンがくるくる変わっているのです。少なくとも現在の原油価格の下落の意味は経済状況が弱いということです。特に中国経済の先行きの弱さを示していますのでこの嵐はまだ過ぎ去ったとは思わない方がよさそうです。

高市早苗氏の問題とは何なのだろう?

この一連の報道を十分理解している人はどれぐらいいるのでしょうか?案外、少ない気がします。単に立憲の小西議員と高市元総務大臣とのバトルで、捏造だ、議員を辞めるといった週刊誌的な言葉がネット上に飛び交いますが、そもそもの背景がすっ飛んでいます。それは今回の両氏のバトルの背景が放送法における公平性の観点で扱いにくいからでしょうか?私にはメディアが腫れ物に触らないように本論ずらしの報道をしているように見えるのです。

背景は2014年に衆議院解散のち、安倍元首相がTBSの「NEWS23」に出た際、街角の声がアベノミクスに懐疑的だとする意見を過分に取り上げた報道姿勢に異議を唱えたところからスタートします。その5日後に同じTBSの番組「サンデーモーニング」で引き続き安倍氏のスタンスに疑問を持つ声をパネリストたちが放談します。それに対して当時、首相の補佐官だった礒崎陽輔氏が放送中におかしいじゃないか、とツィートします。同様の報道は他社でも続いたため、議員ではない磯崎氏は自民党の藤川政人氏に依頼し、総務委員会で質問をします。これに高市氏が総務大臣として放送局が公平性を欠く報道を繰り返せば免許を返納(電波停止)に及ぶ可能性があると指摘したものです。

これに対して総務省内部では磯崎氏をやくざ扱いするなど省との対立構図が出来たというのが背景だと理解しています。(違っていたらご指摘ください。)そのような中で高市氏が矢面に立たされているのですが、私は別の意味で冷静に状況を見ています。それは高市氏がガラスの天井を破れる最至近距離にいるとされる中で本当にその器なのかという点です。この問題をどう上手にかわすかその胆力に注目しているのですが、今のところ、私の評価は低いです。やり取りに感情が乗り、相手の挑発に乗せられてしまっています。上手な攻め方は相手を頭から湯気が出るぐらい興奮させ、そこで一本取るべきなのですが。高市さんは自身がカッカとなる点、数年前から成長していないという印象です。

高市氏と岸田氏 自民党HPより

イトーヨーカ堂に関する日経記事の意図は何なのだろう?

日経がNikkei Viewで報じているのが「イトーヨーカ堂、『止まった人事』と不作為の行方」です。同社の関係者が読めば激高するであろう「ぼろくそ」の内容です。同社と全く関係ない私が読んでも「ここまで書くか?」という内容です。それも創業者の伊藤雅俊氏が10日にお亡くなりになって一週間足らずのこの記事はまるでガーシー氏が議員ではなくなった翌日に警視庁が逮捕状を取り、「先生」から「容疑者」扱いにするのと似た手法です。文春砲なども基本的にネタはかなり前から集めていてタイミングを見てぶっ放す、というのが典型的な手法ですが、日経もそれにあやかったのでしょうか?

私は日経の視線が間違っているとは思いません。極論すればセブン&アイホールディングスに於いてコンビニ事業の一強体制により、人事と組織のムードが他部門の事業を潰したと言い切ってよいと思います。第3四半期決算のセグメント情報を見ても国内外コンビニ事業に対してスーパー部門の利益は1/30ですし、百貨店事業は100億円赤字です。スーパー部門より金融事業が3倍も稼ぐのです。それに対して日経は同社を「不作為」だと指摘するのです。ならばセブン&アイが百貨店部門を無事に切り離したところでスーパー部門も切り離す公算はあると思います。不作為とは会社側に経営する興味がないということですから。

ではそれは経営的に正しい判断か、といえば私は泥沼化するだろうと思います。なぜならコンビニ一本足打法程恐ろしい経営体制はないからです。過去多くの企業がそれでドツボにはまったのは時代の流れに対して巨大事業という巨艦は簡単に方向転換出来ないからです。よってリスクヘッジする意味ならばある程度の事業の柱は揃えておくべきです。ただ、この辺りの経営格言は「本業回帰」とか「多角化の時代」など時代と共に変化します。それを踏まえても、日経の記事はまるで恨みつらみをぶっつけるような内容だけに読者としては違和感満載の記事でありました。

後記
アメリカ、カナダでは3月12日から夏時間になったのですが、もしかするとこの変更はこれが最後かもと囁かれています。アメリカのSunshine Protection Actの法案をルビオ議員が可決させようと躍起になっており、何度目の正直かわかりませんが、今回はそれが通る可能性が出てきています。カナダはアメリカに同調するのでひょっとすると今年の11月に冬時間に戻さなくてもよくなるかもしれません。個人的には冬時間の方が好きでした。無意味に夜遅くまで明るいより朝早く明るくなる方がいいと思いませんか?


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年3月18日の記事より転載させていただきました。