以前のブログで、高級ワインをお金持ちにねだり、人からもらってばかりいる人のことを、密かに「ワイン乞食」と呼んでいると書きました。
ワインはシェアすることで、その楽しみが更に大きくなります。だから人からワインをもらうこと自体は全く否定はしません。
頂いたワインをあたかも自分のもののようにSNSで自慢する人を、ワイン乞食と呼んでいるだけです。
この手の人たちの共通点は、ブランド好きでもあることです。
フランスのブルゴーニュやカリフォルニアのカルトワインの中には、1本10万円を超えるような極めて高価なワインが存在します。ワイン好きなら誰もが憧れるような銘柄ばかりを追いかけるのを見ていると、何だか滑稽です。
では、50万円のワインは5万円のワインの10倍おいしいのでしょうか?
日本経済新聞日曜版に連載されているワインジャーナリストのジャンシス・ロビンソンのコラムに、世界で過小評価されているワインが紹介されていました(写真も同紙から)。
有名な造り手であっても、おいしいとは限らない。コラムでは、イタリアの有名ワインのオルネライアの白は「どれもがっかりする品質だった」とし、ブルゴーニュのカルトワインの造り手ビゾの赤を「言われるほど傑出した造り手とは思えなかった」と実名で酷評していました。
価格が高いワインの中には、クオリティではなく、生産本数が少ないことで「カルト現象」が起こり、人気沸騰で割高になってしまう「フェイク」もたくさんあります。
有名だから、高いからというだけで、ワインを盲信するのは、自ら「バカ舌」であることを告白しているようなものです(もちろん高くておいしいワインはたくさんあります)。
お金に糸目をつけない人は、有名で高いワインを集めて飲めば良いかもしれません。でもそれは、価値も良くわからないままブランド品を身にまとっている「痛い人」に重なって見えてしまいます。
例え高価格であっても「価値>価格」な、あまり知られていないワインを見つけてくる。そんなワインに対する高感度なセンスを持った人たちと楽しくワインを味わいたいと思っています。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年3月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。