論点がずれた記事です。むしろ問題は観戦武官を送れないことでしょう。戦争地域と実際に弾が飛び交う戦闘地域の区別がついていない。
岸田文雄首相は21日のウクライナのキーウ訪問で、第2次世界大戦後の日本の首相として初めて戦闘が続く国・地域に足を踏み入れた。自衛隊は要人警護のみを目的に海外派遣する規定がなく、首相に帯同しなかった。制定時に想定しなかった事態に脆弱な自衛隊法の穴が浮かび上がった。
自衛隊法は自衛隊の任務や行動、権限などを定める。首相に関し「自衛隊の最高の指揮監督権を有する」と記すものの、同法が規定する「自衛隊」に首相は含まない。首相が戦地にあたるウクライナを訪れることも法的に制約しない。
海外で首相を守る任務は書かれていない。戦地に要人が赴く事態を考慮していなかったといえる。
想定外の事態が制度の穴を突いたのは2月に浮上した気球問題も同じだった。防衛省は米軍による中国の偵察気球の撃墜を機に、気球を含む無人機による領空侵犯での武器使用基準の緩和を迫られた。
「自衛隊法はできることが列挙してあるが、基本的に軍隊の法制はネガティブ・リストで『やってはいけない』ことが書いてあってそれ以外はやってもいい。そういう問題もある」。03年に当時の石破茂防衛庁長官はこう提起した。
自衛隊の発足時は戦前の反省から、国民の権利を極力阻害しないよう原則禁止を前提にした。日本を取り巻く国際情勢は変化し技術の進展によって脅威の質も異なってきた。装備や人員だけでなく法制面からも自衛隊の対処能力を再点検する必要がある。
英国では強力な首相の護衛隊がいます。彼らはSASなどのOBもおり、軍隊に通じています。恐らくはかなり危険な状況ではSASなども投入されるのでしょうが、通常は護衛隊だけです。
その意味ではこの記事の趣旨はおかしい。僅かな普通科(それが特戦群であっても)を、自衛隊から出す意味がないですよ。最前線にいくわけでもない。
むしろ問題は観戦武官を出せないことです。今の法制では「戦地に自衛官をだせない」はずなので、観戦武官を出せないはずです。本来こういう戦争では現地で情報を収集すべきですが、岸前防衛大臣はボディアーマーなどの調査すら「非人道的」だとアレルギー示していましたがから、論外です。国益を考えて冷静な判断で法改正をすべきです。
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European Security & Defence 誌に以下の記事を寄稿しました。
【本日の市ヶ谷の噂】
世田谷区議選で、政治家女子48党から出馬する予定の吉川蓮民氏は、防衛医大看護科卒後、自衛隊福岡病院に配属されてパワハラで退職した。その間風俗を兼業。仕事の合間に風俗で働けたのは、サボりたい事務官や古手の看護師などが自衛隊病院の一般開放をかたくなに拒絶するため、同病院は患者が殆どおらず、暇だし、技量の向上も望めない職場だったのも一因、との噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2023年3月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。