こんにちは、医師・医療経済ジャーナリストの森田です。
衝撃の数字が出ました。
毎月月末に厚労省から日本人の総死亡数が発表されるのですが、その2023年1月分が発表されたのです。
それが超異例の「激増」・・・。
どれくらい異例か!というと、あまりに急に増えすぎたのでグラフの「枠」が作り直されたくらいの異例さです。
まず前回のグラフがこちら。
去年(2022年)の月別死亡数。
青=2021年
赤=2022年
これが去年の12月までの発表分。
前年に比べて劇的に増加していることがわかりますが、問題はこの次。今回発表された今年の1月分です。
それがこちら。
・・・よく見ると、左の縦軸の目盛りが変わっています。
最大値が
16万→20万
に大幅に更新されているのです!
簡単に言うとこういうこと。
これまでずっと日本人の毎月の死亡数は10−14万の範囲内だったので、枠の最大値は16万で十分だったのですが・・・。
12月が16万人に激増。まさかと思ったら翌1月はさらに激増の17万人!
で、慌てて枠を更新したと。
まさに異例の事態です。
今回はこの死亡激増の要因について考えたいと思います。
1. 社会の高齢化で高齢者数が増えているから?
日本は今、団塊の世代が75歳以上となる超高齢化社会を迎えています。なので、
「高齢化が進んで超高齢者が増えてるんだから死亡数が増えるのは当然でしょ?」
と思われるかもしれません。
ただ、これは少し違うようです。
2022年の死亡数増加だけ異常なのです。それがよく分かるグラフがこちら。
かなりの急上昇です。
社会の高齢化は、ここ数十年ずっと緩やかに進行してきているものですので、2022年の死亡数激増の要因として「高齢化」を上げるのは不適切でしょう。
ちなみに、上のグラフは年間トータルの死亡数なので、今年1月分は含まれていません。
今年、2023年はいきなり最初から過去最高、半端ない増加率・超ド級の死亡数を叩き出した、ということになります。
2. 新型コロナが流行したから?
ま、年末年始はコロナが大流行してたから仕方ないですよね・・・。
では、この激増した死亡数のうち、コロナ死はどれだけだったのか?
それがこちら。
コロナ死より、「その他の死亡」のほうが全然多いことがわかります。
その「コロナ死者を除く死亡数」の月別グラフがこちら。
やはりコロナ以外死者が激増していることがわかります。
では、なぜこんなに「コロナ死じゃない死亡」がこんなに増えてるのでしょう??
3. コロナで医療逼迫してしまったから?
「コロナで医療逼迫して、病床が埋まってしまって、救われる命も救われなかった」
という説が一部で唱えられているようですが、データを見るとこれもちょっと違うようです。
というのも、人工呼吸器とかECMO(人工肺とポンプを用いた体外循環回路による治療)はそんなに使われていなかったのです。
そのデータが確認できるのがこちら。
なんと、死亡が激増した2022年について言えば、新型コロナ患者に人工呼吸器もECMOも殆ど使っていないことがわかります。
2022年の「第7波」は過去最大の感染者数を記録したのですが、事実として医療現場では人工呼吸器やECMOを殆ど使っていなかった(使える機器はあったのに)・・・。
つまり、
- 感染者のうち「重症者」はほとんどいなかった。
- いたとしても「老衰」の過程にあったお看取り前提のご高齢の方々だった。
ということでしょう。
テレビも新聞もあれだけ「コロナで医療逼迫!」って言ってたのに・・・。
あれっていったい何だったんでしょう?
というわけで、死亡激増の要因として「医療逼迫で救われる命も救われなかった」というストーリーはどうも考えにくいようです。
では、いったいなぜ日本人の死亡がこんなに増えたのでしょう??
4. 残る可能性は3つ。
あと3つ、可能性が残っています。
1. 高齢者が自宅や施設で感染対策の徹底から体力低下・虚弱体質(フレイル)になってどんどん亡くなってしまった?
高齢者施設の実情を見ていると、たしかにこれはありそうです・・・。
感染対策の徹底で、殆どの病院や高齢者施設などでは、
「外出禁止」・「面会禁止」
となりました。
僕が知る限り、これをやらなかった病院・施設は殆どありませんでした。
これがなんと3年間続いている(しかも、今後いつ終わるか未だにわからない)・・・。
ただでさえ体力が低下してきているご高齢の方々が、3年間も病院・施設内に閉じ込められ、外部との接触を絶たれてしまったのですから、体力面でも精神面でも衰えが進行してしまうことは容易に想像できます(あなたが3年間外部から一切遮断され隔離・収容されたと思ってみてください)。
もっと言えば、高齢者施設の内部ではご家族などの外部の目が全くなくなってしまったので、ケアの質の低下が著しいようなケースも多々あります。
事実、僕は医師としてそうした方々をたくさん見てきました。
ですので、「高齢者が自宅や施設で感染対策の徹底から体力低下・虚弱体質(フレイル)になってどんどん亡くなってしまった?」という要因はかなりあるのではないかと思います(ただ、こうしたものは統計データがありませんので、現場の体験・感想レベルの話にしかなりません)。
2. コロナワクチンを打ったことで死亡が増えてしまったのか・・・?
たしかにうちの義父もワクチン接種後に脳梗塞になりましたし、
ご近所さんも接種後にお風呂で突然死してしまいましたし、
友人の若い子もクモ膜下出血で突然死しましたし、
しかもどの例も全くワクチンと関連付けて報告されていない(医師は疑ってさえいない)ですし・・・。
現場の医師が疑わなければ「ワクチン副反応」や「ワクチン死」の統計に上がってくるわけもありません。
コロナ以外の死亡の死因は、心臓疾患や老衰など多岐に渡っているのですが、上記のようなワクチン接種後の死亡も、医師がそれを疑わなければ統計上は「心疾患」や「老衰」として分類されていることになります。
結局、よくわからないまま死因が分散しているのでしょう・・・。
ちなみに、ワクチン接種時期と死亡増加の時期はかなり重なっています。
てゆうか、そもそもワクチン接種前の死亡数は例年通りで、プラスだったりマイナスだったりだったんですよね・・・。ワクチン接種後はずっとプラスなんですが。
というわけで、ワクチン接種と死亡増加はかなり関連がありそうです。
3. コロナ感染の後に体力低下などで死亡(関連死)された方が多かった?
こちらも一般的によく言われる言説ですが、高齢コロナ患者を多数診察している医師として、現場ではあまりそういう症例を診たことはありません。
仮に僕の知らない現場でそういう症例が多かったとしても死因統計としては老衰やその他疾患として計上されるでしょうからこれもまた統計が分散してわからなくなってしまっているでしょう。
ま、そもそもコロナ感染・重症化を防ぐ(95%感染予防効果があると言っていた)ワクチンを高齢者の9割以上が打ったのですから・・・「じゃワクチン意味なかったの?」と言いたくなりますが。
結論
まぁ、最後に残った上記3つのどちらだったとしても、「高齢者を守る!」と言って日本がとってきた2大政策
「感染対策」と「ワクチン」
がどちらも高齢者を守れなかった(逆効果だった)ということは統計的に間違いなさそうです。
だって、「コロナ以外の死亡数が激増してしまった」のですから。
今の日本の雰囲気は、なんとなく
「コロナ、大変だったけどみんな頑張ったんだからもういいよね!」
で終わりにしたい空気でいっぱいのような気がしますが、
国を上げて大騒ぎした大パニックだったのですから、ここはしっかり総括して反省するところは反省するべきだと思います。
「コロナ以外の死亡数激増!」
って、冷静に考えれば相当やばいことですからね・・・。
ちなみに、世界はとっくにワクチン接種やめてますから・・・(一応各国政府はまだ推奨してるけど、殆どの国民が選択しなくなったという意味)。