自衛官の再就職は防衛省で

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自衛官のなり手が少ない、入ってもすぐ辞めるのは以前から申し上げているように、世間の常識を無視したカルト体質だからです。そのカルト体質のせいで軍隊としては極めて脆弱。しかもそれを陰湿に隠蔽する。常に自分たちは正しいので、批判避難する連中は法敵、異端である。だから殲滅しても何ら問題はない。

それを批判したり改善したり主張するとパワハラやいじめの対象になります。そら、入る人間も少なくなるし、中途で辞める人間も増えるでしょう。何のことはない、それって統一教会とかと同じでしょう。

自衛隊の強化を図るならば、憲法改正より、この腐った文化の改善が必要不可欠です。ところがNanadaとかWillに寄稿されている「保守の論客」の方々はこの事実を指摘しません。

さて、もう一つの原因は低い退職年齢と、再就職先を見つけるのが困難なことでしょう。

常識的に考えて、それまでのスキルを活かせない50歳以上の人間に魅力的な職場など簡単に見つかりません。

ですから防衛省で一定数を再雇用すべきです。それは装備調達要員として雇用すればよろしい、その分自衛官を減らせばいいわけです。調達要員は英仏独あたりと比べても一桁は少ない。しかも専門知識が低いレベルにある。それを強化する必要あります。

2年毎に替わる幹部が調達担当してもいいことはありません。

特に陸自は充足率も上がらないし、全部の部隊を近代化することも不可能です。ですから陸自の定数を減らすべきです。3万人ぐらい減らしても何ら問題はないでしょう。あわせて方面隊と総監部を廃止すべきです。そうして将官や1佐のポストを大幅削減すべきです。そうすれば副官、秘書、運転手なども必要なくなり、不要なポストの数を削減できます。

他国同様に30代ぐらいから一定階級に上がれない自衛官は退職とする。その代わり、希望者は装備庁や内局で装備調達要員として再訓練して通常の公務員として採用する。無論前提条件として予備自衛官にする。佐官も将官もです。

そうすれば平均年齢の低減化もできます。できるだけ早いうちに再教育すればその分効率もいい。

当然ならが定年後の隊員も受け入れます。これのメリットは、「天下り」の防止です。天下りでメーカーや商社に入って立派な仕事をされている方も多数知っております。反面その天下りを食わすために、不要や不合理な装備を高く買ったりすることもおおい。いずも級のバウソナーなどその好例でしょう。

これは将官だけに限りません。曹クラスの退職者が基地の近くの小さなヤクザな会社に天下って、不要なものを部隊に買わせるというのが地方調達では実はかなりあります。これも減らすことができるでしょう。

そしてこれまた以前から申し上げているように、防衛省、自衛隊の各種学校の教官や職員もどんどん退職者を通常の公務員として再雇用する。

これら2つの方策でかなりの再雇用対策となります。その分再雇用支援の部署も縮小できるでしょう。

天下りを数分の一に減らせば、そのような無駄な調達を減らすことができます。これは防衛予算の適正執行に必要不可欠です。

【本日の市ヶ谷の噂】
陸幕はよせばいいのに、カール・グスタフM4の生産が決まった段階で旧型のM3の調達をデスラー総統、もとい岩田幕僚長時代に決定。例によって毎年少数を調達するも、M3のライン閉鎖が決まって、来年度で大人買いするもの、全量調達にはならず。予後はM4に変更する無様、との噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2023年3月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。