「売れるホスト」が国語ドリルを使う理由がすごすぎた

黒坂岳央です。

たまたまSNSで流れてきた投稿の中に非常に興味深いものがあった。売れるホストになるための訓練として、小学生、中学生用の国語ドリルを解くというものである。

筆者は夜のお店についての知識がない門外漢であり、ホストの世界は正直よく知らない。だがこの短い動画の中に、あらゆる人間関係における本質的な金言で溢れていると感じたので取り上げたい。

売れるホストには読解力が必要

動画によると、売れるホストになるために一番大事な要素は「読解力」というのだ。

コミュニケーションは「読解→思考→伝達」というプロセスを経る中で、最初に相手の話を理解する「読解」から始まるという。しかし、その読解が正しくできなければ、後続の思考や伝達がずれる。女性客の話を正確に理解したり、求めることができなければ仕事が成り立たず「話が理解できないこの人は頭が悪い」と思われたらその相手にお金を使わなくなるという話だ。

見た目がイケメンならパッパラパーでも無条件でバンバン売れる世界などではなく、実際はとてもシビアだったようだ。

映像には国語ドリルが写っており、パッと見でスーツ姿の大人が必死にドリルを解く姿に違和感を覚えるがその実、ビジネスに必要な本質的な訓練を受けていたのだ。

ビジネスで相手から見限られる時

この話はビジネスの世界でも通じると思っている。すなわち、相手から「この相手から学びを得ることはない」とか「この人は頭が悪い」と思われたらおしまいということである。だからビジネスマンであり続け、相手から一目置かれるためには不断の勉強が必要なのだ。

一部のビジネスマンは自分を優秀だと虚勢を張るためにウソの実績や経歴をでっちあげたり、大げさな自己PRに走るが人の目は節穴ではない。言葉の強さと実績の乖離を鋭く見抜かれ、あっさりと真の実力は馬脚を現すものだ。特に話し言葉ではごまかせるが、書き言葉だとジェスチャーや雰囲気、言い方などでごまかしが効かず本来の実力は瞬時に伝わってしまう。

優秀なビジネスマンだと周囲が感じる瞬間とは、言葉の雄弁さなどに加えて相手の話に応答力に現れると思っている。時々あるのが、マスコミから稚拙な質問やゴシップめいた問いを受けたプロスポーツ選手が、一切の苛立つ様子を見せることなく瞬時にハイレベルな回答をして見ている側に「さすが一流は違う」と思わせるなどだ。

虚勢を張る者は事前に作り上げたハリボテの発信は可能でも、一流の応答ができないことでバレる。応答は事前のカンペを用意できないためだ(台本ありのヤラセは別)。

読解力は人間関係の基本

すべての人間関係の入り口は読解力、つまりは相手の言うことを正確に理解することだと思っている。件のホストの世界に限った話ではない。

特にいろんな属性の人と同じプラットフォームに身を置く、SNSではそれが顕著になる。

  • 一言も言ってないのにことを読み取って曲解する人
  • 言ったこととを誤って歪曲する人
  • 自己愛を満たす目的でムダに自慢やマウントを混ぜる人
  • 強固な思い込みで何を言っても一切話を聞けない人

これらすべてが読解力の欠如という共通点がある。コミュニケーションは相手とのキャッチボールだから、会話の片方の読解力がなければ会話が成り立たない。結果、会話する意欲を失った側が静かに離れていくという事が起きる。相手から「会話する価値がない」と思われ、静かに離れられるのは多くの人にとって本意ではないはずだ。

ホストでなくても読解力は大変重要な力なのである。そんなコミュニケーションの「基本のき」を再認識させてくれる、よい投稿だったと感じる。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。