産経、朝日、毎日がそろって社説で「OBによる天下りあっせん禁
論調が全く異なりがちな産経と朝日・毎日の意見が合致するほど、
天下り規制を第一次安倍内閣で導入した際(2007年)に担当していましたので、コメントしておきますと、
1)まず「職員によるあっせん」だけの禁止では必ず「OBによるあっせん」が出てきて骨抜きになるとの危惧は当時も議論されていました。
しかし、当時は、
- 退職後まで長期にわたって行為規制を課す必要性・合理性(いわゆる立法事実)が必ずしも十分でなかったこと
- 一方、OBだけであっせんを行うのは基本的に難しく(それでは、退職勧奨と連動できない)、一般には必ず職員(人事当局)もあっせんに関わるはずであること
から、「職員によるあっせん禁止」だけにとどめました。
2)残念ながらその後危惧は現実化し、「OBによるあっせん」がどこの省庁でも当たり前になりました。
これは、天下り規制が骨抜きになったというだけにとどまらず、「OBが人事に関わって実権を持つ」という極めて不健全な状態をももたらしています。
ここまで立法事実が積み重なった以上、「OBによるあっせん禁止」を導入すべきです。
3)こんな状態になってしまった要因は、当時の民主党の対応です。
2007年の天下り規制は、「職員によるあっせん禁止(→違反行為がなされていないかを監視委員会で監視)」+「官民人材交流センターへのあっせん一元化(→透明性の高いプロセスでの再就職へ移行)」でした。
これに対し、当時の民主党は、「これではザル規制だ」と強く批判し、批判だけならよかったのですが、批判を行動に表し、監視委員会の国会同意人事を拒み続け(2012年まで)、官民人材交流センターは形骸化しました。
結果として、天下り規制は導入されたものの、監視機関は実質不在、一方、移行すべき出口はふさがれている状態になりました。その間に「OBによるあっせん」という悪しき慣行が全省庁で確立したのです。
4)ここまで異常な慣行が強固に確立し、明るみにも出た以上、単に「OBによるあっせん禁止」にとどまらず、より透明性の高い再就職(本人の能力・実績に基づく再就職)への転換のため、規制を再構築する必要があります。
(なお、以下は岸博幸さんと話した際の動画ですが、この点概ね同意見でした)