殺傷能力を備えている爆発物だったかどうかは定かではないが、どうもただの発煙筒ではなさそうである。
二発目まで投下しようとしていた、というのだから、これはただの選挙妨害、演説妨害ではなく、何らかの政治的目的を持って行動を起こした政治的テロ犯だと考えた方がよさそうだ。
既に容疑者の氏名は明らかになっているようだが、犯行に至った動機や背景事情等は未だ明らかではない。
まずは、個人的な動機に基づく単独犯なのか、それとも何らかの組織的な背景があるのかを解明してもらう必要がある。
安倍元総理を銃撃した犯人に対する一部マスコミの報道ぶりがこういった政治的テロを誘発する一因になったのではないか、などという指摘がなされ始めているが、そのあたりのこともこの際徹底的に究明されるべきだろう。
この事件は、ただの模倣犯ではなさそうだ。
街頭演説が狙われる時代になってしまった
怪我人を一人も出すことなく容疑者をその場で取り押さえたのだから、結論としてよかったと言うべきなのだろうが、しかし、やはり危なかった。
投げられたのは発煙筒だったそうだが、爆発物だったかも知れないのだから、安心出来る要素はどこにもない。
安倍元総理に引続いて総理が狙われる時代になった、と受け止めるしかない。
体感治安の悪化が顕著になっている。
狙われるのは必ずしも総理に限らないだろうから、街頭演説の安全性確保のために街頭演説や著名政治家の迂遠演説の在り方も見直しが必要になりそうである。
岸田さん本人はこれからも街頭での応援演説を続けられるようだが、安全の確保が十分でない場合の街頭での応援演説は控えられた方がいいかも知れない。
実際にはそんなにあちらこちらに危険があるわけではないだろうが、世相が不穏な状況になると模倣犯を生み出し易くなるとも言われているので、まずは、安全第一で対処していただきたいものである。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2023年4月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。