黒坂岳央です。
「人の価値観は十人十色」
誰しもある程度の年齢を経るとことで、よく理解できるようになる。他の人が「いいね」と思っても自分には「よくないね」になることはあるし、その逆も然りである。感覚的に分かっていてもしっかりと言語化していたり、マイルールとして持っている人は意外なほど少ない。
究極的にいえば人生はしょせん、自己満足かつ暇つぶしゲームである。与えられた限りある時間を最大限に楽しみつくし、満足の行く「今この時の瞬間」を積み上げ続けるには自分自身のことをよく理解しておく必要がある。そう、自分のトリセツを持っておくことでそれが可能になるのだ。
自分自身のことは本当にわからない
「灯台下暗し」という言葉がある。遠くを照らす灯台も足元に光を当てることができないという意味だ。これは人間にもモロに当てはまる。
他人のいいところ、悪いところはよく見える人でも自分自身の強みや弱みになるとてんで的外れになることは多い。自分自身もそうだった。大学留学中に専攻していた会計分野の専門家になるため、20代から30代なかばまでの時間を費やしたが、「その分野は向いていない」ということに気づいたのは自分の力ではなく、妻からの言葉だった。妻がいなければ間違いなく、今でも適性のない会計の専門家として苦しんでいただろう。
そして仕事を通じて人と会ってもそれはよく実感する。とてつもなくコミュニケーション能力が高い人に驚いて、「人とコミュニケーションを取るお仕事で活躍されているのですか?」という趣旨の質問をすると「工場の流れ作業をしていますよ。特段、上手だという自覚はありません」と返ってくる人もいた。もったいないと心から思った。コミュニケーション能力を活かす仕事につけば確実に活躍するだろう。それでも本人はそうだと思っていないのだ。
だから自分自身で強み、弱みを判断するより他人から才能を発掘してもらう方が正しい答えを導き出せることも少なくないと思っている。他者からの評価はメモしておき、自分自身のトリセツづくりに活用したい。
自分の価値観を言語化してトリセツに
これは仕事の話に限らない。人生を生きる上で自分はどんなことに楽しさを感じるのか?逆に苦痛を感じるのか? こうした価値観はしっかり言語化しておき、トリセツとして持っておくのが良いと思う。とりわけ40歳までが理想だと思う。その根拠を述べたい。
筆者は酒を飲まない。一時的に高級ワインを買って飲むことをやってみたが、全然続かなかった。酒の席で頑張って騒いでみたりしたこともあったが、どうしても冷静さを追い払えず「何やってんだろ」と冷めた目で自分自身を俯瞰してしまう。そもそもおいしいとも思えないし、不健康でルーティンも崩れるのが嫌だし、大人数でバカ騒ぎよりマンツーマンで静かに深い話を語り合う方が楽しい。
だから「酒飲めないなんてつまらないやつ」「人生確実に損してる」などと言われたこともあったが、以上の理由から自分は基本的に酒は飲まないと決めている。
また、人付き合いをする上でもトリセツは確実に機能する。あまり自分の世界に閉じすぎるのも問題だが、付き合って不幸になる人は最初から自分の世界に入れないことはQOLの観点から極めて重要になる。
筆者の中でも「この項目に当てはまる人とは付き合いをしない」と決めているものがある。たとえばその1つが「お互いにリスペクトのない関係性は持たない」である。リスペクトの態度がない関係を無理に作っても絶対に続かない上、お互い不幸になる。これは過去の人生で幾度となく経験してきた。たとえ目先の利益がありそうだと分かっていても、これはルールとして自分に課している。
それから自分自身がマイナスの存在にならないようにも意識していることがある。その1つが「夜誰かにメッセージを送らない」である。
往々にして、夜はオーバーポジティブやその逆に攻撃的、悲観的になりがちだ。夜のテンションで誰かにメッセージを送り、朝に後悔する経験を重ねて来たので今はもう絶対にしないようにしている。よしんば、問い合わせが多く来て夜に文章を作ることがあっても、よほど簡単な内容のものだけか、もしくはその場では送信せず必ず早朝にもう一度見て送信する。これをするようにして失敗は減った。
◇
40歳、人生の折り返し地点である。それまでの人生経験を棚卸しすることで、他者評価による自分自身の強みや弱み、価値観はある程度見えてきているはずだ。それを元にトリセツを持っておき、自分自身、それから自分と関わる相手のQOLを高めることに活用できると思うのである。
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